研究課題/領域番号 |
21K16311
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
塩入 達政 愛知医科大学, 付置研究所, 助手 (40896891)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | セルグリシン / グリコサミノグリカン |
研究実績の概要 |
セルグリシン (Serglycin、以下SRGN) はヘパリン鎖を付加した小型のプロテオグリカンで、肥満細胞の分泌顆粒においてタンパク質分解酵素やヒスタミン等の活性アミンと結合し、これらの分子群を分泌顆粒内に高濃度に蓄積することから、I型アレルギー反応の鍵を握る分子と考えられている。しかしなぜ他のプロテオグリカンが細胞外へ放出されるのに対し同分子のみがヘパリンを付加し、分泌顆粒に局在するのかは解明されていない。本研究の目的は、肥満細胞におけるSRGNの分泌顆粒への輸送機構を、他のプロテオグリカン(パールカン)との局在の比較によって明らかにすることである。 パールカンはゴルジ装置から分泌小胞を経て恒常的に放出されるのに対し、SRGNはゴルジ装置から分泌顆粒へと輸送される。細胞内のどの過程で両者の経路が分かれるのかを明らかにするために、内在性のSRGNとパールカンの細胞内局在を蛍光タンパク質を用いたライブイメージングや細胞小器官マーカーとの二重免疫染色にて検討する。まず、ラット好塩基球性白血病細胞株(RBL-2H3)に対して遺伝子改変システムCRISPER/Cas9を使用して内在性SRGNを蛍光タンパク質mCherryと融合発現させた。その細胞を蛍光顕微鏡で観察したところSRGN-mCherryと考えられる蛍光が顆粒状に複数観察された。その細胞に対しさらに分泌顆粒マーカーであるニューロペプタイトY(NPY)と蛍光タンパク質(Gamillus)との融合タンパク質を一過性発現させ共焦点顕微鏡で観察した。その結果NPYとSRGNは共局在しておりSRGN-mCherryが最終目的地である分泌顆粒内に正常に輸送されていることが示された。 今後、内在性パールカンに関しても遺伝子改変により蛍光タンパク質と融合発現させSRGNとの輸送の違いを共焦点顕微鏡でタイムラプス観察していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CRISPR/Cas9システムを使用してRBL-2H3細胞内在性セルグリシンを遺伝子改変により蛍光タンパク質(mCherry)との融合発現する細胞を調製した。同様の方法を使用して細胞内在性パールカンを遺伝子改変する事で蛍光タンパク質(Gamillus)との融合発現を試みているが今のところ蛍光顕微鏡、FACSで観察する限り蛍光を発する細胞は得られていない。現在、問題の解決へ向けて対策の検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は細胞内オルガネラのマーカータンパク質発現用プラスミドを細胞に遺伝子導入し一過性発現させSRGN、パールカンの正確な細胞内局在を調べていく。またSRGNとパールカンを別々の蛍光タンパク質で融合発現させ1つの細胞内での共局在の違いをライブイメージングで観察し細胞内オルガネラの様々な箇所での共局在の有無を観察し輸送経路の違いを明確にする。 現在ABiSの支援を受けているが、さらに支援者(基礎生物学研究所、亀井保博准教授)との連携によって研究を推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に共焦点顕微鏡で観察を行うために必要な試薬やガラスディッシュを多数購入する予定であったが観察対象の細胞調製が遅れたため購入を延期したため未使用額が生じた。使用残額は,次年度の物品費(消耗品)として使用する。
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