研究課題/領域番号 |
21K16319
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
奥野 英雄 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教(常勤) (60768878)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 抗酸菌感染症 / 迅速診断検査 / 薬剤耐性 |
研究実績の概要 |
本研究は、直径3μmの貫通孔を微生物が通過する際の電流-時間波形を計測することで微生物を検出する、ナノポア技術及びAI識別を、抗酸菌の識別に適応し、臨床検体を用いて10分以内に抗酸菌の種類および薬剤耐性の診断が可能となる検査系の開発を行うことを目的としている。2021年度は、保存株である、Mycobacterium abscessusとMycobacterium intracellulare20株ずつ、その他、BCG株や、Mycobacterium kansasii4株を用いて研究を進めた。まず、Middlebrook7H9培地(マイコブロス、極東製薬)を用いて、保存株を培養し、貫通孔を通過するかを検討した。通常の培養検体では、抗酸菌特有のcluster形成(cord形成)が顕著であり、直径3μmの貫通孔は通過せず、cluster形成をいかに阻害するかが重要であると考えられた。2021年度末には、貫通孔を通過する様子を直接顕微鏡下に観察する実験系を確立し、菌体が実際に貫通孔を通過する様子を視覚的にとらえることに成功した。培養時間を様々な条件を変え、培養液中の菌量の目安として、吸光度を測定したところ、通常の培養時間(約1週間~)よりもかなり短期間の培養時間でナノポア計測には十分な菌量が得られ、むしろcluster形成を阻害できることが分かった。これは、ナノポア技術を用いた検査により、従来の検査時間よりもかなり短縮できる可能性を示唆していると考えられた。また、培地に添加する界面活性剤の濃度を検討し、よりcluster形成を阻害することで、安定して菌体が貫通孔を通過できるような実験条件の確立を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
検討する抗酸菌の保存菌株の収集に関しては計画通り進んでいるが、抗酸菌特有のcluster形成の阻害方法の検討に時間を要している。このような検討は、過去の先行文献でも報告されておらず、本研究が他に先駆けて取り組んでいる課題であると思われる。ただし、その実験条件が確立すれば、収集している抗酸菌の測定を順次進めていくことが可能だと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度末に確立した、菌体が実際に貫通孔を通過する様子を視覚的にとらえられる顕微鏡下の実験系を用いて、培地中の界面活性剤の濃度条件を様々に検討していく。また、界面活性剤のほかに、蛋白分解酵素などを用いたcluster形成の阻害も試みる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在、抗酸菌が貫通孔を通過するための実験条件の検討を行っている段階である。実験条件が整えば、保存株の測定が順次開始されるため、測定に必要なモジュールなどの消耗品の購入に研究費を使用する予定である。
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