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2023 年度 実施状況報告書

マウスモデルを用いたカンジダ属の薬剤耐性機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K16322
研究機関長崎大学

研究代表者

平山 達朗  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (40836269)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードCandida auris / 腸管 / 薬剤耐性 / エキノキャンディン
研究実績の概要

Candida aurisは、侵襲性カンジダ症の原因菌であり、複数の抗真菌薬に耐性であることが多く、世界的に問題となっている。2022年にWHOが発刊したfungal priority pathogens listの中でも最も優先度の高いグループに位置しており、早急な対策や基礎研究の推進が必要である。第一選択薬はキャンディン系抗真菌薬であるが、耐性であることも少なくない。他のカンジダ属と比較して皮膚などに定着しやすく、腸管への定着は少ないと考えられているが、本研究ではC. aurisがマウスの腸管に定着し、またキャンディン系薬に曝露されることで薬剤耐性を獲得することを明らかにした。
キャンディン系薬に対する耐性機序としてFKS1のhot spot 1、hot spot 2に変異を持つ株が複数得られ、その中にはこれまで報告のない変異も含まれていた。これらの変異株は、発育速度やストレス応答などは野生株と変化なく、マウスへの病原性も野生株と変化がないことを確認した。マウスを用いた治療実験では野生株と比較すると、キャンディン系薬に対する治療効果が乏しいことも確認できた。C. aurisも他のカンジダ属と同様に、腸管にて薬剤耐性を獲得し長期間生存する可能性を示した。本研究で得られた知見は論文にて発表した(Hirayama T et al, Antimicrob Agents Chemother, 2023)。さらにCRISPR/Cas9にてこれらの変異を導入/修正することで、in vitro、in vivoにおける薬剤感受性が変化することを確認した。
このほかにも腸管から分離された株の中には、キャンディン系にしか曝露していないにも関わらず、アゾール系への感受性が低下した株が分離された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究開始時の目的である、Candida aurisが腸管で薬剤耐性を獲得するかという疑問を解決でき、その耐性機序も解明することができた。論文も出版できており、概ね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

分離された株の中にはキャンディン系のみならず、アゾール系にも耐性傾向となった株が分離されており、網羅的遺伝子解析などによりこれらの耐性機序の解明を進めている。変異の数やアップレギュレーションしている遺伝子群が多く、解析に時間がかかっているが、様々なストレスへの感受性や、耐性に影響すると考えられる遺伝子のゲノム編集を行い、新たな耐性機序の解明を目指す。

次年度使用額が生じた理由

当該年度の研究は既存の物品を用いることが可能だったため次年度使用が発生した。次年度は未知の耐性機序解明のため、ゲノム編集関係の酵素類、物品などの経費が必要となり、これらに充てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Echinocandin Resistance in Candida auris Occurs in the Murine Gastrointestinal Tract Due to FKS1 Mutations2023

    • 著者名/発表者名
      Hirayama Tatsuro、Miyazaki Taiga、Sumiyoshi Makoto、Ito Yuya、Ashizawa Nobuyuki、Takeda Kazuaki、Iwanaga Naoki、Takazono Takahiro、Yamamoto Kazuko、Izumikawa Koichi、Yanagihara Katsunori、Makimura Koichi、Tsukamoto Kazuhiro、Kohno Shigeru、Mukae Hiroshi
    • 雑誌名

      Antimicrobial Agents and Chemotherapy

      巻: 67 ページ: e0124322

    • DOI

      10.1128/aac.01243-22

    • 査読あり

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公開日: 2024-12-25  

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