研究課題/領域番号 |
21K16323
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
太田 賢治 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (70894624)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | COVID-19 / 細菌叢解析 / SARS-CoV-2 |
研究実績の概要 |
口腔内細菌叢と呼吸器感染症との関連性が報告されているが、COVID-19における役割はわかっていない。本研究は、COVID-19における口腔内細菌叢の変化を明らかにすることを目的とした。 2020年4月に長崎市に停泊中のクルーズ船内において発生したCOVID-19集団感染において、感染者および非感染者を対象として、SARS-CoV-2 PCR検査目的に採取された唾液検体を用い、細菌叢解析を行った。唾液から核酸抽出を行い、16s rRNAのV1-V2領域を増幅し、次世代シークエンサー(MiSeq, Illumina)を用いてメタゲノム解析を行った。両群における細菌叢の多様性を評価するためα-diversityおよびβ-diversityを比較し、また、両群間の細菌叢の組成を比較するため、differential abundance analysisを行った。 COVID-19群38例と健常者群20例を対象とした。α-diversity(total number)はCOVID-19群 49.9、健常者群 46.9(P=0.05)であり、COVID-19群において多様性が上昇している傾向が示唆された。一方、α-diversity(Shannon's index)およびβ-diversity(Jaccard)は両群間で差が見られなかった。両群間の組成を比較したところ、科レベルでCOVID-19群におけるCarnobacteriaceaeの占有率の低下や、属レベルでStreptococcus pneumoniaeやPrevotella pleuritidisの上昇、Staphylococcus epidermidisの低下など、複数の菌種レベルでの変化が観察された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の感染拡大や、試薬の入手困難および購入が滞ったことで、解析にやや遅れが生じた。
|
今後の研究の推進方策 |
COVID-19感染後の経時的な細菌叢変化を観察するため、時系列にそった検体採取および解析を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究に用いる試薬の入手困難により、購入が滞ったため、物品に要する支出が減額となった。 次年度は試薬を購入し、収集した検体の細菌叢解析を行う予定である。 また、国内および国際学会の延期やオンライン開催により、当初予定よりも旅費に要する支出が減額となった。
|