研究課題
口腔内細菌叢と呼吸器感染症との関連性が報告されているが、COVID-19における役割はわかっていない。本研究は、COVID-19における口腔内細菌叢の変化を明らかにすることを目的とした。 2020年4月に長崎市に停泊中のクルーズ船内において発生したCOVID-19集団感染において、感染者および非感染者を対象として、SARS-CoV-2 PCR検査目的に採取された唾液検体を用い、細菌叢解析を行った。唾液から核酸抽出を行い、16s rRNAのV1-V2領域を増幅し、次世代シークエンサー(MiSeq, Illumina)を用いてメタゲノム解析を行った。COVID-19群38例と健常者群20例を対象とした。多様性の指標であるα-diversity(total number)はCOVID-19群 49.9、健常者群 46.9(P=0.05)であり、COVID-19群において多様性が上昇している傾向が示唆された。両群間の組成を比較したところ、科レベルでCOVID-19群におけるCarnobacteriaceaeの占有率の低下や、属レベルでStreptococcus pneumoniaeやPrevotella pleuritidisの上昇、 Staphylococcus epidermidisの低下など、複数の菌種レベルでの変化が観察された。また、本年度は、経時的な細菌叢変化を観察するため、22名の感染者を対象に、day 1, day 3, day 7, day 14の唾液を対象として細菌叢解析を行った。day 3, day 7で細菌叢の組成に変化がみられたが、統計学的有意なものではなく、COVID-19患者の感染後の細菌叢変化は限定的なものである可能性が示唆された。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Microbiology Spectrum
巻: 11 ページ: 1~3
10.1128/spectrum.03259-22
Vaccine: X
巻: 13 ページ: 100282~100282
10.1016/j.jvacx.2023.100282