研究1年目の2021年は、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスにおける皮膚上の消毒効果の正確な評価を行った。 研究2年目の2022年は、ウイルス(ヒトコロナウイルス・新型コロナウイルス・インフルエンザウイルスなど)に対する残留消毒効果の解析を行った。 これらのデータに基づき、2023年は黄色ブドウ球菌(MRSAも含む)、大腸菌(O-157などの腸管出血性大腸菌も含む)、セラチア菌などのバクテリアに対する残留消毒効果の評価系構築を行った。ウイルスと同様に、エタノールやイソプロパノールなどのアルコール系消毒薬にはバクテリアに対する残留消毒効果がほとんど認められなかった。一方でグルコン酸クロルヘキシジン・塩化ベンザルコニウム・ポピドンヨードなどの消毒薬には強い残留消毒効果が認められ、バクテリアの皮膚上での生存時間を大幅に短縮させた。 またこの残留消毒効果は、皮膚に塗布してから4時間以上経過した後も維持されることを確認した。 以上のように、強い残留消毒効果を持つ消毒剤を皮膚に塗布することで、バクテリアが生存しにくい皮膚表面を創出することができ、現行の手指衛生を強力にサポートする革新的な接触感染予防法となりえることが明らかになった。本解析データは現在まとめて論文執筆中である(そのため残留消毒効果の程度を示す具体的なバクテリアの生存時間のデータは現段階では非開示である)。 このように本研究では、ウイルスおよびバクテリアを対象とした生存に適していない皮膚環境の創出方法のベースとなるデータ採取を行った。
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