現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、菌株をスパイクして培養した擬似血液培養検体を用い、ナノポア型MPSによる逐次WGSの妥当性の確認を行った。菌株はMiSeq (イルミナ) によるドラフト全ゲノム解析により菌種および薬剤耐性遺伝子 (ARGs) が明らかなEscherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Pseudomonas aeruginosa, Acinetobacter baumannii, Staphylococcus aureus, およびEnterococcus spp.の6菌種/属について5株ずつ、計30株を供した。血液培養液10mLから集菌した菌体をビーズ破砕後、magLEAD SV PSプロトコール (プレシジョン・システム・サイエンス) によってDNAを抽出し、Rapid Sequencing Kitにより調整したライブラリをFlongleおよびMinION (いずれもONT) で解読した。菌種同定およびARGs解析にはKmerFinderとResFinderデータベースを用いた。なお、MiSeqの解析結果による保有ARGs数は範囲3-26, 中央値8であった。Flongleのデータにおいて、すべての菌株は正しく菌種同定された。すべてのARGsが検出された株数は上述の菌種順に、2、1、1、3、4、および0 (計11株) だった。Fongle出力データ量増加に伴いARGs検出数も増加した。同DNAをMinIONで解読したところ、さらに9株ですべてのARGsが検出された。Flongle/MinIONの出力が十分に得られれば、サブカルチャーなしに血液培養ボトルから網羅的な菌種同定およびARGs検出が可能である。偶発的解読不良確認のため、内部コントロールをサンプルへスパイクする必要がある。
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