研究課題/領域番号 |
21K16336
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
三小田 亜希子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期・母性診療センター, 研究員 (60887074)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 生活習慣病 / 遠隔診療 / 糖尿病 / PHR |
研究実績の概要 |
東大病院糖尿病・代謝内科外来に1年以上定期通院している2型糖尿病患者5420名のうち糖尿病の病名登録があるまたはHbA1c 6.5%以上の3915名を抽出し、除外基準(入院歴、転院、2型以外の病型の糖尿病名登録のある者等)を満たす1529名を除外、2386名を解析対象とした。 年齢69.4±11.3歳、男性1491名(62.5%)、電話診利用者230名(9.6%)であった。コロナ禍の2020年度上半期では、前年度の同期間と比較して、受診回数が有意に減少していた。HbA1cは6.95(6.50-7.43)%対6.97(6.50-7.50)%(p<0.01)と統計学的には有意に悪化していたが、わずかな上昇にとどまった。一方で腎機能は1年でeGFR -0.93(-3.98-2.09)mL/min/1.73m2低下し、これは日本人の一般住民コホートのeGFRの年間低下速度0.36 mL/min/1.73m2/年の約3倍の速度であった。電話診利用の有無で糖尿病や腎機能の指標に有意な差はみられなかった。糖尿病診療支援アプリDialBetesPlusを利用していた患者の2020年4月以降の歩数の平均値はパンデミック前(2019年12月-3月)と比較してパンデミック後に有意に減少した(6270.5±1342.1対7437.6±612.9, p=0.0018)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はコロナ禍における2型糖尿病患者の診療実態を単施設後ろ向きコホート研究によって明らかにし、学会報告、論文発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍では2型糖尿病患者の活動量が減少していることを確認したが、血糖コントロールの大幅な増悪は認めなかった。一方で糖尿病腎症悪化速度は有意に加速している危険性が示唆され、さらなる検討が求められる。定期通院中の2型糖尿病患者に対する電話を用いた遠隔診療は、これまでのところは安全に実施されていることが示唆された。 次年度は妊娠糖尿病に対してPHRを利活用した診療を実施することで、周産期アウトカムがどのように変化したのか検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度に引き続き、次年度の研究実施、成果報告に使用する。
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