脂肪組織に在住するマクロファージは脂肪細胞の機能を調節する作用を有する。これまで、M2 マクロファージは非肥満時に抗炎症性のサイトカインを放出し、インスリン感受性の維持に関与すると考えられてきた。しかし、最近の研究では M2マクロファージは前駆脂肪細胞の増殖と分化に直接働きかけ、インスリン感受性を制御することが明らかとなってきている。本研究は、M2 マクロファージの増殖能を制御することで、細胞の分化はどのように調節されるのかを検証し、M2マクロファージの増殖因子を明らかにすることを目的とする。また、これらの知見をもとに、従来の薬剤とは 異なる新たなメカニズムを有する抗肥満・抗糖尿病薬の開発に着手する。 M2マクロファージは肥満・糖尿病といった代謝疾患の治療ターゲットとなり得ると考えており、2023年度は肥満や糖尿病に伴う耐糖能やインスリン抵抗性の改善薬の開発に向けた研究を進めている。この開発品の投与によって、肥満糖尿病モデルマウスの耐糖能の改善 やインスリン抵抗性の改善が起こることは2022年度までにその効果や作用機序を明らかにしてきたが作製した開発品には、エンドトキシンが含まれていることが明らかとなった。その為、エンドトキシンやマイコプラズマ等が含まれていない品質が保証された薬剤の開発を行うことに注力した。今後、改めて、糖尿病モデルマウスへの投与を行い、その効果を検討していく予定である。
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