研究課題/領域番号 |
21K16342
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
福長 健作 香川大学, 医学部, 助教 (70746932)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 脂肪肝 / 成人成長ホルモン分泌不全症 / ABCA1 / IGF-1 / ソマトメジンC |
研究実績の概要 |
成人GH分泌不全症(AGHD)では体脂肪量・内臓脂肪の増加を認め、高Triglyceride(TG)血症、脂肪肝・非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を発症し最終的に肝硬変に至ることがある病態であり、AGHD患者での臨床的重要課題とされている。GHの応答ホルモンであるInsulin-likegrowth factor-I (IGF-I)もAGHDで同様に低値になるが、IGF-I補充の有効性や機序は不明である。IGF-Iが脂肪肝を改善する機序として、TG合成と密接な関係があるABCA1が関与していることを推定し、IGF-IがABCA1発現促進により、脂肪肝/NASHを抑制するということを仮説として研究を進めている。現時点の実績として、IGF-IがABCA1発現に及ぼす影響について、特に細胞内情報伝達系に焦点を当てて検討したところ、肝細胞においてIGF-I刺激に伴うABCA1蛋白、ABCA1 mRNAの検討ではともにABCA1発現が増加した。またIGF-Iをヒト肝癌由来細胞株であるHepG2に加えてABCA1転写活性の変化を測定したところ、IGF-IはABCA1転写活性を促進し、PI3-K/Akt/FoxO1を介してABCA1発現を制御している可能性が示唆された。またGH分泌不全マウスモデルで、IGF-Iが脂質代謝/脂肪肝を改善するメカニズムの解析したところ、IGF-I投与群で肝臓でのABCA1発現が上昇し、肝臓のHE染色でGrowth Hormone受容体拮抗剤の使用により肝細胞の脂肪化がおこり(GHDに伴う脂肪肝の再現)、その変化はIGF-I投与群で改善し、細胞内脂質蓄積を減少させた。これらの結果からは、IGF-IがABCA1の発現を促進し、血清TGが低下し、脂肪肝が改善した可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FoxO1をリン酸化するchemical compoundの検索として、ABCA1遺伝子を抑制的に制御しているFoxO1をリン酸化することでABCA1の発現をupregulateしていることから、今後はFoxO1と共役するcofactor, corepressor等の転写因子複合体の解明を進める。例えばExendin-4や2-MethoxyestradiolはFoxO1に関連することを確認した。加えてIGF-IによってFoxO1を調節するmaster regulatorについての解析を進めており、現時点ではこの過程にある。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響にて臨床業務が大幅に影響を受ける事が多いが、それに伴い研究業務にも支障が出ないように引き続き研究を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
ABCA1の発現変化を介して細胞内の脂質含量が変動することから、逆に細胞内脂質変動が及ぼす影響についても検討する予定としている。さらに、肝線維化マーカーの変化やインスリン抵抗性などについて解析を行い、脂質代謝・糖代謝の流れについても検証し、in vivoにおいてIGF-I投与による脂肪肝改善のメカニズムの解析を更に進めていく予定である。
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