研究実績の概要 |
睡眠時無呼吸症候群の病態である間歇的低酸素 (intermittent hypoxia; IH) が、インスリン依存性グルコース取り込みの主要組織である骨格筋に与える影響を検討した。2%ウマ血清で分化させたマウスC2C12筋細胞とヒトRD筋細胞をIH [5分間のO2 1%状態と10分間のO2 21%状態 (Normoxia) の繰り返し] とNormoxiaにそれぞれ24時間曝露後、real-time RT-PCR法でNOX2, GLUT4, MAPK14, PI3KR2, sirtuin 2, TNFα, IL-6, IL-8, IL-15, BDNF, irisin, decorin, osteonectin (ON), myonectin (MN)のmRNAを測定した。IHにより糖尿病関連ミオカインIL-8、ON、MNのmRNA量が有意に増加し、ELISA法では培養上清中の発現蛋白量も有意に増加した。これら3遺伝子のプロモーターアッセイでは、IHによる活性上昇が認められ、IL-8、ON、MN遺伝子のそれぞれ -152~-151、-105~-99、-3741~-3738のプロモーター領域が必要であることがわかった。それらの領域はIL-8、MNに関してはOCT1、ONはNRF2のコンセンサス領域を有しており、それぞれのsiRNA導入によりIL-8、ON、MN遺伝子のIHによる転写活性亢進は消失した。SAS患者では、IL-8、ON、MNの遺伝子発現増加が、筋肉組織において炎症性表現型を誘導し、インスリン抵抗性に寄与していると考えられた(J. Cell. Mol. Med. 2022;24:6019-6031. doi: 10.1111/jcmm.17618; Int. J. Mol. Sci. 2022;23:364. DOI: 10.3390/ijms23010364; Int. J. Mol. Sci. 2022;23:12957. DOI: 10.3390/ijms232112957)。
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