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2021 年度 実施状況報告書

ヒト膵島における嗅覚受容体を介したインスリン分泌機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K16348
研究機関東北大学

研究代表者

宗像 佑一郎  東北大学, 大学病院, 助教 (60747070)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワードインスリン分泌 / 糖尿病 / 嗅覚受容体 / 膵β細胞
研究実績の概要

嗅覚受容体は、7回膜貫通のG蛋白共役型受容体であり、嗅上皮に発現し、食物の匂いを含む外因性の匂い物質の化学受容器として機能している。さらに、嗅覚受容体は嗅上皮以外の組織にも発現し機能していることが報告されている。
研究代表者はこれまでにマウスの膵β細胞に複数種の嗅覚受容体が発現していることを世界で初めて見出し、そのうちの一つOLFR15は、中鎖脂肪酸であるオクタン酸をリガンドとし、グルコース応答性インスリン分泌(GSIS)を促進すること、この機序はPLC-IP3経路活性化であり、既存の糖尿病薬のシグナルとは別経路でGSISを増強することを解明してきた。このことから、研究代表者は「膵β細胞に異所性に発現する嗅覚受容体が、化学受容器として食事由来の成分などを関知し、個体レベルでの代謝調節に重要な役割を果たしている」という新たな概念を提唱した(Sci Rep. 2018)。しかし、種によって大きく発現する嗅覚受容体の種類が異なり、かつ、膵β細胞もヒトとマウスでは、そのキャラクターが異なることが報告されている。一方で、研究代表者はOLFR15の相同遺伝子であるOC2C1がヒト膵島に発現していることを明らかにしてきた。
そこで本研究では、上記の研究代表者が世界に先駆けて解明した膵β細胞嗅覚受容体システムが、ヒトにおいて糖代謝制御に果たす生理的な役割を明らかとすることを目的に研究を進めている。具体的には、ヒトにおいて嗅覚受容体という化学受容器を用いて、膵β細胞がインスリン分泌を調節する仕組みや化合物制御でのGSIS促進による治療に向けた検討を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ヒト膵島を用いた網羅的解析によりこれまで明らかにしてきたOR2C1以外に複数の異所性嗅覚受容体の発現を見出し、膵β細胞嗅覚受容体システムを担う複数の有望なターゲットと考えられた。
コロナ禍となり共同研究施設からのヒト膵島の供給が滞った事もあり解析に遅れが出ている。

今後の研究の推進方策

ヒト膵島に発現することが示唆された嗅覚受容体について、免疫染色などでその組織分布を評価し、膵β細胞に発現する嗅覚受容体の特定を進める。さらに、膵β細胞に発現する嗅覚受容体については、供給されたヒト膵島で化合物候補を用いてGSIS増強効果を検討していく予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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