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2022 年度 実施状況報告書

免疫チェックポイント阻害薬による下垂体障害のバイオマーカーの同定

研究課題

研究課題/領域番号 21K16352
研究機関名古屋大学

研究代表者

小林 朋子  名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (50876977)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードirAE / バイオマーカー / 下垂体 / 甲状腺
研究実績の概要

免疫チェックポイント阻害薬(ICIs)による下垂体障害は急性副腎不全となり得る重篤な免疫関連有害事象であり、その臨床像の解明と発症予測マーカーの同定は喫緊の課題である。研究代表者は前年度に、下垂体障害を予測するバイオマーカーを解明すべく、下垂体障害発症例と非発症例の血清中の抗下垂体抗体を解析し、治療前の抗下垂体抗体保有率がACTH単独欠損症で有意に高い(64.7%)こと、腫大を伴う複合型下垂体機能低下症では治療前の抗下垂体抗体は陰性であるが薬剤投与後に陽転化する(80.0%)ことを明らかにした。引き続き症例を集積し、下垂体障害発症者の長期的な障害ホルモン・画像変化・全生存率を観察し、それらのバイオマーカーの探索を継続する。
また、研究代表者は名古屋大学医学部附属病院においてICIs治療を行う全ての患者を対象として、下垂体障害を含むすべての内分泌障害を前向きに評価する臨床研究を行っており、本研究もこのコホートにおいて遂行されている。この臨床研究の中で、これまでに甲状腺自己抗体が抗PD-1抗体または抗CTLA-4抗体+抗PD-1抗体併用療法による甲状腺障害のバイオマーカーとなることを報告した。さらに2022年度は、抗PD-L1抗体による甲状腺障害では投与前の血清TSH値高値、抗サイログロブリン抗体陽性、チロシンキナーゼ阻害薬又はラムシルマブの投与歴がリスク因子となることを明らかにした。この研究成果は米国内分泌学会より発行されている科学誌「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism 2022」に掲載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年3月31日時点で免疫チェックポイント阻害薬投与症例は1213例まで増えており、2022年度の1年間では新規に免疫チェックポイント阻害薬による下垂体障害が8例で認められており症例集積は順調である。

今後の研究の推進方策

最近広く使用されるようになった抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体の併用療法による下垂体障害の症例が集積されてきており、抗PD-1抗体単剤による下垂体障害と比較した臨床的特徴や他のirAEとの合併、バイオマーカーについて解析する。

次年度使用額が生じた理由

バイオマーカー探索のための実験計画が変更となったため、次年度使用が生じた。未使用額は、次年度により多くの実験用物品が必要なため、それらに使用予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Elevated TSH Level, TgAb, and Prior Use of Ramucirumab or TKIs as Risk Factors for Thyroid Dysfunction in PD-L1 Blockade2022

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi T, Iwama S, Yamagami A, Yasuda Y, Okuji T, Ito M, Zhou X, Ando M, Onoue T, Miyata T, Sugiyama M, Hagiwara D, Suga H, Banno R, Hase T, Morise M, Ito T, Kikumori T, Inoue M, Ando Y, Masuda N, Kawashima H, Hashimoto N, Arima H.
    • 雑誌名

      The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism

      巻: 107 ページ: e4115~e4123

    • DOI

      10.1210/clinem/dgac467.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Immune checkpoint inhibitor-related thyroid dysfunction.2022

    • 著者名/発表者名
      Iwama S, Kobayashi T, Yasuda Y, Arima H.
    • 雑誌名

      Best Practice & Research Clinical Endocrinology & Metabolism

      巻: 36 ページ: -

    • DOI

      10.1016/j.beem.2022.101660

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 新型コロナウイルス感染後に抗PD-1抗体/抗CTLA-4抗体併用療法による甲状腺機能低下症とACTH単独欠損症を発症した1例2023

    • 著者名/発表者名
      前田龍太郎、小林朋子、山上綾菜、三輪田勤、尾上剛史、岩間信太郎、有馬寛
    • 学会等名
      第249回日本内科学会東海地方会
  • [学会発表] イピリムマブ・ニボルマブ併用療法による甲状腺障害の臨床的特徴と高リスクマーカー2022

    • 著者名/発表者名
      小林朋子、岩間信太郎、山上綾菜、伊藤雅晃、奥地剛之、安田康紀、有馬寛
    • 学会等名
      第95回日本内分泌学会総会
  • [学会発表] 抗PD-L1抗体による甲状腺障害の発症リスク因子の検討2022

    • 著者名/発表者名
      小林朋子、岩間信太郎、山上綾菜、Zhou Xin、伊藤雅晃、安田康紀、有馬寛
    • 学会等名
      第65回日本甲状腺学会学術集会
  • [学会発表] 抗PD-1抗体療法開始前の抗甲状腺抗体の存在は非小細胞肺癌患者の生存期間延長と相関する2022

    • 著者名/発表者名
      奥地剛之、岩間信太郎、小林朋子、山上綾菜、Zhou Xin、伊藤雅晃、安田康紀、有馬寛
    • 学会等名
      第95回日本内分泌学会総会
  • [学会発表] 免疫チェックポイント阻害薬関連1型糖尿病4例の治療奏効率の検討2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤雅晃,岩間信太郎,小林朋子,有馬寛
    • 学会等名
      第65回日本糖尿病学会学術集会
  • [学会発表] ストレプトゾトシン糖尿病マウスにおける抗PD-1抗体の大腸癌細胞株に対する抗腫瘍効果低下とケモカインの関連2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤雅晃,岩間信太郎,奥地剛之,安田康紀,山上綾菜,Zhou Xin,小林朋子,有馬寛
    • 学会等名
      第95回日本内分泌学会総会
  • [図書] 月刊 腫瘍内科 解説2. 免疫チェックポイント阻害薬による内分泌有害事象2023

    • 著者名/発表者名
      小林朋子, 岩間信太郎, 有馬寛
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      科学評論社

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公開日: 2023-12-25  

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