研究課題
1)NAFLDにおける血中XOR活性の上昇と、その血管障害・動脈硬化性疾患への関与NAFLD病態において血中に過剰に逸脱した肝XORが、血管内皮障害や動脈硬化症の進展に関与し得ること、また、BEYOND-UA研究のサブ解析により肝障害合併・高尿酸血症患者では、XOR阻害薬(Topiroxostat)の投与で血管伸展性指標が改善することを報告した(Biomedicines. 2023)。さらに、Febuxostatによる介入試験であるPRIZE研究のサブ解析を行った。その結果、ベースラインのALT/AST値が中央値および30 U/L以上の被験者において、非薬物療法群では有意なCAVIの上昇が認められた一方で、Febuxostat群では変化はなく、有意な群間差を認めた(論文投稿中)。2)アディポネクチンのT-cadherinを介した糖尿病性細小血管障害への作用の解明各種CreマウスとT-cad floxマウスを用いてT-cad発現細胞・特異的なT-cad欠損マウスを構築し、各組織のT-cadがアディポネクチン(APN)の体内動態に及ぼす影響を評価した。血中APN濃度は、全身性(Ubiquitin-CreERT2)・T-cad欠損マウスではCre誘導後に約4倍程度、血管内皮細胞特異的(VE-cadherin-CreERT2)・T-cad欠損マウスでは約3倍、体性幹細胞/pericyte特異的(PDGFRα-CreERT2)・T-cad欠損マウスでは約1.5倍と、経時的な血中APN濃度の上昇がみられた。一方で、骨格筋細胞(MCK-Cre)や心筋細胞(αMHC-Cre)・特異的 T-cad欠損マウスでは血中APN濃度に明らかな変化はみられなかった。以上の結果より、APNの生体内動態においては特に血管内皮細胞のT-cadの影響が大きいことが示唆された。
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