研究課題/領域番号 |
21K16355
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
細川 友誠 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (40898350)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 肥満 / 脂肪組織 / インスリン感受性 |
研究実績の概要 |
「研究計画1.脂肪細胞特異的LTA4H過剰発現マウスの代謝表現型の解析」については、高脂肪食飼育下の脂肪細胞特異的LTA4H過剰発現マウス及び対象マウスを、複数のタイムポイントにおいて評価した。具体的には、血漿、脂肪組織の包括的リピドミクス解析、脂肪組織のRNA-seq解析、フローサイトメトリーを用いた免疫細胞浸潤評価を実施し、これらの解析を通じてLTA4Hの脂肪組織の健康的増大に関わる可能性のある候補因子を複数抽出した。
「研究計画2.高度肥満症患者の内臓脂肪組織及び血漿試料における代謝表現型の解析」については、減量外科手術を行った高度肥満症患者の手術時の内臓脂肪試料、術前及び術後の1年後までの血漿試料(計40症例)の収集を完遂した。これらの症例について、各種血液検査結果や体重の変化など、臨床指標の収集・解析も開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画1については、LTA4Hの脂肪組織の健康的増大に関わる可能性のある候補因子および機序を複数抽出しており、培養細胞を用いた細胞生物学的実験や他の糖尿病動物実験モデルを用いてさらなる解析を行う準備も進んでいる。
研究計画2については、試料の収集は完遂し、血漿、脂肪組織の包括的リピドミクス解析やRNA-seqなどの評価も進行中である。
以上の理由から、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画1については、これまでに抽出した候補因子について、培養細胞を用いた細胞生物学的実験により、 LTA4Hによる脂肪組織の健康的増大に関わる可能性のある候補分子の機能解析を実施する。また、脂肪組織の健康的増大に関連する機能が確認できた候補分子について、他の肥満・インスリン抵抗性動物の試料を用いてその変化を解析し、候補因子のインスリン抵抗性や代謝改善における普遍性に関する知見を収集する。また、LTA4Hによる脂肪組織の健康的増大に関わる分子の機能が確認されれば、生体への一過性遺伝子導入・遺伝子ノックダウンなどの手法により個体レベルでの機能の検証を行う。
研究計画2については、試料収集を完遂した40症例について、代謝異常を伴う「非健康的脂肪組織増大群」と代謝異常を伴わない「健康的脂肪組織増大群」に分類し、各群の臨床的特性を解析する。また、内臓脂肪組織の包括的リピドミクス解析及び脂肪組織のRNA-seq解析を実施し、初年度に得ている脂肪細胞特異的LTA4H過剰発現マウス及び対象マウスでの結果と比較解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で、ウェブでの参加・発表となった国内学会があったため、国内学会成果発表において使用予定であった費用が次年度使用額として生じた。
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