研究課題
脂肪細胞特異的にタモキシフェン誘導性にインスリン受容体を欠損させた(iFIRKO)マウスでは、急性に成熟脂肪細胞の細胞死を伴って脂肪萎縮をきたし、続いて間葉系前駆細胞群の増加を伴って脂肪組織が再生されることが報告されている。本研究では、このときに血中細胞外小胞(EVs)と肝臓で共通して増加するmiRNAとして、miR-144-3pとmiR-486a-3pを同定し、iFIRKOマウスの肝臓や、これらのmiRNA mimicをトランスフェクションした初代培養肝細胞では肝細胞の増殖が促進されることを見出した。これらのmiRNAの標的遺伝子をデータベース情報から探索し、3'-UTRレポーターベクターを用いて検証したところ、Txnipが共通する標的遺伝子であると考えられ、iFIRKOマウスの肝臓や、miRNA mimicをトランスフェクションした初代培養肝細胞でTXNIPの発現が低下していることも確認された。これらのmiRNAの初期転写産物(pri-miRNA)は、iFIRKOマウスの肝臓で増加していない一方で脂肪組織で増加していたことから、間葉系前駆細胞群の増加を伴って脂肪組織が再生されるとき、脂肪組織から肝臓にEVsを介してmiRNAが送達された可能性が示唆された。TXNIP欠損マウスでは肝再生が促進されることが報告されており、また、ヒトのNASHの肝臓ではTXNIPの発現が上昇していることが確認されていることから、脂肪組織の間葉系前駆細胞群が放出するmiRNAにはNASHの肝硬変に対して再生作用が期待できる可能性が考えられた。
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PLOS ONE
巻: 18 ページ: e0284989
10.1371/journal.pone.0284989