研究課題/領域番号 |
21K16375
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
齋藤 傑 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 小児外科系専門診療部, 専門修練医 (00772013)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 免疫チェックポイント阻害剤 / 移植腫瘍量 / 腫瘍塊腫瘍量 / 神経芽腫 |
研究実績の概要 |
小児固形腫瘍の治療成績は依然生存率が低く治療抵抗性である。既存の治療のみでは効果は限定的であり、新規治療法の開発が強く望まれている。我々は先行研 究で、免疫チェックポイント阻害剤 (immune checkpoint inhibitor: ICI) で骨肉腫肺転移マウスモデルにおいての有効性を 確認した。この有効性には原発巣 の切除、つまり“腫瘍量 (Tumor burden) ”が治療効果に強い影響を及ぼすことが推察された。本研究では小児固形腫瘍におけるICIの“Tumor burden”と関連 した治療効果に関する基盤的研究を行うことを目的とする。細胞株は自然発生マウス神経芽腫細胞株 (Neuro-2a細胞株) 、マウスはA/Jマウス (5週齢雌) を用い た。2022年度は、2021年度に行った移植腫瘍細胞量の比較に加え、治療開始日を遅らせたdelay-treatment群での実験を行った。結果、、腫瘍細胞株皮下移植量 (10000、100000、1000000、10000000) の4群のうち、delay-treatmentの10000000移植群は全例死亡するという結果となった。2021年度までは、移植量増大に伴い生存率は低下するものと予想したものの、結果としては生存率に有意差は認められず、移植量と生存率の相関は明らかとならなかったが、2022年度の実験結果により、ある程度の腫瘍塊を形成すると治療効果が著しく減弱するということが明らかになった。浮遊細胞量よりも腫瘍塊腫瘍量が治療効果に重要であるといった仮説がたてられたため、今後この結果をもとに更なる研究を行うとともに、生存した個体に再度腫瘍細胞を投与することで再度腫瘍が形成されるかどうかの検証も行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
治療開始時期を遅くしたdelay-treatment群での実験を今年度行うことで、新たな仮説 (腫瘍塊腫瘍量が浮遊細胞腫瘍量よりも治療効果に重要) がたてられた。一方で、4月から職場が異動となったことにより、実験環境を再構築することに時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
生存個体への腫瘍再移植実験、これまでのdelay-treatmen群での実験のn数を増やすことを目標とする。腫瘍塊を形成した個体に対する手術での切除、化学療法、放射線治療といった治療介入後のICI投与についても検討する。生存個体に対する腫瘍再移植実験も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
職場異動による実験設備での消耗品等の把握に時間を要した。 今後は把握した状況から必要な消耗品の購入、学会発表による旅費、論文作成に必要な物品等に使用する。
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