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2021 年度 実施状況報告書

血中循環腫瘍DNAを用いた甲状腺乳頭癌の新たな治療戦略基盤の構築

研究課題

研究課題/領域番号 21K16382
研究機関長崎大学

研究代表者

田中 彩  長崎大学, 病院 腫瘍外科, 助教 (50893244)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード甲状腺癌
研究実績の概要

本年度はまず血液からのcell-free DNA (cfDNA)の抽出法の最適化を行った。また、将来的に他の施設に協力を依頼する際に、特殊な機器無しでどれくらいの回収率の変化があるのかについて検討した。cfDNAの量と質の検討には、アジレント社のTapeStationを用いた。その結果、通常の遠心機で比較的迅速に血漿まで作成し凍結すれば、QIAGEN社の抽出キットで十分な量のcfDNAを得られることが分かった。
次に、甲状腺乳頭癌で最も重要な遺伝子変異であるBRAFV600E変異、TERTプロモーター(2ヶ所)変異について、蛍光プローブを用いたdroplet digital PCRによる手法をセットアップし、PCR産物を用い、低アレル頻度における検出感度の測定を行った。総DNAコピー数500においては0.5%まで検出が可能であることが分かった。
本年度は、合計54例の甲状腺乳頭癌の初回手術前後、放射性ヨウ素治療前後、分子標的薬の治療前後に血液を採取し、cfDNAの抽出と、上記遺伝子変異の検出を行った。初回手術症例に関しては、術後摘出標本からも遺伝子変異解析を行った。初回手術症例と比較し、転移巣を持つ分子標的薬投与例ではcfDNAの量が多い傾向があった。現在のところ、cfDNAにおける上記遺伝子変異の検出感度はそう高くなく、術後摘出標本との一致率も高いとは言えない。特に、TERTプロモーター部位はGCリッチなためか、感度が低かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

cfDNAの抽出の最適化は完了し、ある程度の検体収集も行えたため。

今後の研究の推進方策

cfDNAの抽出は問題なく行える目処が立ったものの、circulating tumor DNA (ctDNA)における変異の検出力に問題がある。今後は、PCRの最適化・高感度化を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

PCRの条件検討や希釈したPCR産物を用いた感度測定など、単純な実験系を繰り返し行うのに予想より時間がかかり、あまり消耗品を購入しなかった。また、新型コロナウイルス感染拡大により、出張を行わなかった。次年度はプローブを用いた症例の変異解析を進める。またPCRに必要な器具の購入に経費をあてる予定。また、延期となっている学会発表の旅費にあてる予定。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Preoperative detection of the TERT promoter mutations in papillary thyroid carcinomas2021

    • 著者名/発表者名
      Nakao Tomoe、Matsuse Michiko、Saenko Vladimir、Rogounovitch Tatiana、Tanaka Aya、Suzuki Keiji、Higuchi Miyoko、Sasai Hisanori、Sano Tsutomu、Hirokawa Mitsuyoshi、Miyauchi Akira、Kawakami Atsushi、Mitsutake Norisato
    • 雑誌名

      Clinical Endocrinology

      巻: 95 ページ: 790~799

    • DOI

      10.1111/cen.14567

    • 査読あり

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公開日: 2022-12-28  

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