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2021 年度 実施状況報告書

胃がん間質細胞による新しい血行性転移メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K16384
研究機関熊本大学

研究代表者

内原 智幸  熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (60835172)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワード腫瘍微小環境 / 胃がん / 血行性転移 / CTC / CTCクラスター / cCAFs
研究実績の概要

がん細胞をとりまく腫瘍微小環境において線維芽細胞は、がん細胞やその他の免疫細胞等により活性化され、がん関連線維芽細胞 (Cancer associated fibroblast: CAFs)として様々な液性因子を分泌しがん進展に関わることが知られている。一方、胃がんはスクリーニングおよび治療法の進歩に伴い予後改善が認められるようになったが、進行胃がん患者に対しては転移・再発のため依然として満足できる遠隔成績は得られていない。本研究の目的はCAFs 、なかでも循環血液中のcirculating Cancer associated fibroblasts (cCAFs)に注目し、これまで明らかになっていないcCAFsによる新しい胃がん転移メカニズムを明らかにすることである。
現在、マウス胃がん細胞の肝・肺転移モデルを確立し循環血液中にシングルセルCTCsおよび非がん細胞とCTCのクラスターが存在することを確認している。しかし、形成されたクラスターが癌細胞(CTCs)の性質にどのような影響を与えるかは明らかではない。そのため申請者は『CTCクラスターニッチ形成が血行性がん転移を促進している』というオリジナルの仮説を立て、本研究の構想に至った。血行性転移を有するマウスの循環血液中からマイクロフィルターを用いてCTCクラスターを捕捉した結果、クラスター数と血行性転移の有無に有意に相関があることが明らかになった。また、がん細胞のみで形成されるクラスター(homotypic cluster)だけでなく、FAP陽性のcCAFsとがん細胞により形成されたクラスター(heterotypic cluster)の存在も確認しており、血行性転移形成に重要な働きをすることが示唆された。さらに、全身性炎症に伴い増加し、CTCクラスター形成に重要と考えられる血小板に対する中和抗体を投与した結果、CTCクラスターの消失とともに、顕著に遠隔転移が抑制されることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

CTCクラスターニッチ形成が血行性がん転移を促進しているという仮説通りに実験が遂行できており、その中でもcCAFs、血小板に注目し解析中でありおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

今後は血行性転移形成におけるcCAFsと血小板の相互作用に注目して研究を行っていく。また、現在はマウスのみの解析であるが、ヒト血液サンプルにおいても同様の解析を行う予定であり、検体を収集しているところである。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた旅費と人件費の使用がなかったため。次年度に合算して使用できる見込み。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] Duke-NUS Medical School(シンガポール)

    • 国名
      シンガポール
    • 外国機関名
      Duke-NUS Medical School
  • [国際共同研究] MD-Anderson Cancer Center(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      MD-Anderson Cancer Center
  • [雑誌論文] Metabolic shift to serine biosynthesis through 3-PG accumulation and PHGDH induction promotes tumor growth in pancreatic cancer2021

    • 著者名/発表者名
      Itoyama R, Yasuda-Yoshihara N, Kitamura F, Yasuda T, Bu L, Yonemura A, Uchihara T, Arima K, Hu X, Jun Z, Okamoto Y, Akiyama T, Yamashita K, Nakao Y, Yusa T, Kitano Y, Higashi T, Miyata T, Imai K, Hayashi H, Yamashita YI, Mikawa T, Kondoh H, Baba H, Ishimoto T
    • 雑誌名

      Cancer Letters

      巻: 523 ページ: 29~42

    • DOI

      10.1016/j.canlet.2021.09.007

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Inflammation-driven senescence-associated secretory phenotype in cancer-associated fibroblasts enhances peritoneal dissemination2021

    • 著者名/発表者名
      Yasuda T, Koiwa M, Yonemura A, Miyake K, Kariya R, Kubota S, Yokomizo-Nakano T, Yasuda-Yoshihara N, Uchihara T, Itoyama R, Bu L, Fu L, Arima K, Izumi D, Iwagami S, Eto K, Iwatsuki M, Baba Y, Yoshida N, Ohguchi H, Okada S, Matsusaki K, Sashida G, Takahashi A, Tan P, Baba H, Ishimoto T
    • 雑誌名

      Cell Reports

      巻: 34 ページ: 108779~108779

    • DOI

      10.1016/j.celrep.2021.108779

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Annexin A6 in Extracellular Vesicles from Cancer-associated Fibroblasts Induces Drug Resistance2021

    • 著者名/発表者名
      内原 智幸
    • 学会等名
      第80回日本癌学会学術総会、ポスター

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公開日: 2022-12-28  

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