研究課題/領域番号 |
21K16387
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
高橋 信博 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (40627139)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 肝芽腫 / インドシアニングリーン / トランスポーター / CRISPR / レンチウイルス |
研究実績の概要 |
本研究は小児肝がんである肝芽腫においてインドシアニングリーン(ICG)排出が遅延する性質を有することから肝芽腫細胞において排出トランスポーターの発現が低下していると想定され、既知の薬剤から肝芽腫細胞のICG代謝に関わるトランスポーターで排出される薬剤を抽出し、肝芽腫細胞に対する代謝を検討することで、再発転移肝芽腫に対する新規治療薬を提唱することを目的としている。研究の概要としては1)トランスポーターの遺伝子ノックアウト細胞株の樹立、2)樹立した細胞株において既存薬剤によるスクリーニングによる候補薬剤の選定、3)候補薬剤のIn vitro、In vivoにおける検証である。 2021年度までの成果としては、排出トランスポーターであるABCB11に着目し、肝芽腫細胞株であるHepG2においてCRISPRレンチウイルスを用いてABCB11のノックアウト細胞株を作成した。また、ICG取り込みの評価法の確立や薬剤スクリーニングのための増殖アッセイの条件検討、動物実験の条件検討を行った。 2022年度はノックアウトした細胞株のシングルセルクローンを樹立し、ノックアウトの検証を行った。ウエスタンブロットを中心とした解析にて種々の条件検討を行ったが、DNAシーケンスにてDNAの変異は認めるもののタンパク発現の低下が確認できず難渋した。その原因として、肝芽腫細胞株ではトランスポーターの発現量が低値であることが考えられ、2023年度は不死化正常肝細胞を用いて同様にノックアウトを行い、薬剤スクリーニングへと進む方針としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初肝芽腫細胞株を用いてノックアウト細胞株を樹立したが、ノックアウトを検証する段階で難渋し、様々な条件検討を行った。その原因としてそもそも肝芽腫細胞株がトランスポーターの発現が低いことが理由と考えられ、不死化正常肝細胞を用いる方法へ変更することとした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は不死化正常肝細胞株を用いてトランスポーターのノックアウト株を樹立し、薬剤スクリーニングを進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画上はほぼ当初の予定通りの使用ができており、余剰となった366円について次年度使用額とした。使用計画としては雑費として計上する予定である。
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