研究実績の概要 |
EGFRを高発現するトリプルネガティブ乳癌(TNBC)細胞はEGFR-TKIの添加によって細胞死が誘導されるが、IL-26はEGFR-TKIによって誘導される細胞死を抑制し、EGFR-TKI耐性を獲得させることを見出した。このEGFR-TKI耐性メカニズムを解明するため、TNBC細胞株をIL-26刺激した遺伝子サンプルにDNAマイクロアレイを施行し、パスウェイ解析によっていくつかのシグナル経路の活性を見出した。 hIL-26Tgマウスを使用したTNBCの担癌実験では、TNBCはEGFR-TKIによる小胞体ストレス誘導時にIL-6, CXCL2などのサイトカインやケモカインを産生して免疫細胞を浸潤させることを見出した。 さらに、浸潤した免疫細胞より産生されたIL-26はこの小胞体ストレスを緩和してEGFR-TKIの耐性を誘導していることを見出した。 また、ヒトTNBC患者の組織を用いてCD4, CD8, CD68, CD163などの免疫細胞マーカーとIL-26との共染色を行ったところ、CD4陽性T細胞以外の細胞からもIL-26が産生されていることを明らかにした。 現在、CD4以外の細胞でどのような細胞がIL-26を産生するか調査しており、IL-26産生機序の詳細な解明を進める予定である。 また、今回hIL-26Tgマウスの担癌モデルにおいて、EGFR-TKIの耐性を獲得することが明らかになったため、IL-26が活性化するJNKやAKTの阻害剤との併用効果、樹立したIL-26抗体との併用効果を検討していく予定である。
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