研究課題/領域番号 |
21K16393
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研究機関 | 静岡県立静岡がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
荒木 淳 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (00508088)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 複合組織移植 / 機能再建 / 移植医療 / 異分野共同研究 / 国際共同研究 |
研究実績の概要 |
様々な神経、免疫、腫瘍疾患によりしばしば患者の肛門機能は失われてしまう。この場合、排泄のために腹部に人工肛門「ストーマ」が造設される。腸管を腹壁から引き出し腸管皮膚瘻を人工的に作り、体表面にパウチを貼り、持続的に出てくる便を収容する方法である。これにより確かに多くの患者の命は救われてきた。しかし、ストーマの存在そのものによる新たな苦痛を患者に強いることとなったのもまた事実である。管理の猥雑さに加え、整容面や精神面の問題は重く、深い。これらの問題に対し、我々は国際異分野共同研究という形で解決法を追求している。 形成外科医、大腸外科医、解剖学者、基礎研究者、WOCナースらが共同で、新しい複合祖域移植の開発を行った。特に、ビーグル犬を用いた陰部神経および陰部動静脈を吻合する移植モデルについて結果の解析を行った。そのなかで神経吻合により随意筋だけでなく不随意筋もまた再生することが分かった。これは体性神経のみならず自律神経もまた、吻合することにより機能再生されることを示しており、非常に興味深い結果となったと思われる。 動物実験に成功した成果を、国際誌論文および国内外の学会にて発表し、研究奨励賞や学会招待講演をはじめとする高い評価を得た。 患者およびご家族を対象としたアンケートを作成したり、ホームページを作成したりすることで社会意識調査の準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験動物としてこれまでラットやイヌを用いてきたが、ヒトへの応用を目指した前臨床研究としては、霊長類を用いた実験も必要なのではないかと、共同研究者間で再検討している。
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今後の研究の推進方策 |
前項のとおり、霊長類を用いた実験を視野に入れており、現実的に実験ができる施設としては、滋賀医大(滋賀県)や新日本科学(鹿児島県)つくば霊長類研究センター(茨城県)などが候補に挙がっており、検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
今後の研究の方針として、霊長類を用いた動物実験を検討しており、多額な費用がかかることが予想されるため。
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