研究課題/領域番号 |
21K16404
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
洲尾 昌伍 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (40771019)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 神経芽種 / 免疫チェックポイント阻害剤 / 免疫治療 |
研究実績の概要 |
神経芽種は初診時に遠隔転移を有するハイリスク症例が多く、そのような症例の予後は不良であり、新規治療法の開発が求められている。特に再発や化学療法抵抗性の症例に対しては有効な治療法がないのが現状である。成人癌分野で近年広く使用されるようになってきている免疫チェックポイント阻害剤は腫瘍免疫に着目した治療薬であるが、神経芽種をはじめ小児固形癌に対する効果はまだ不明な点が多く、治療適応となっていない。腫瘍免疫に着目した治療は世界中から注目を集め研究が進められている分野であり、新たな知見が大きな治療発展につながる可能性がある。これまでの検討で神経芽種では油症浸潤リンパ球数が少ないことが確認され、免疫チェックポイント阻害剤の効果を得るためには宿主免疫を活性化させる方法などさらなる工夫が必要である可能性がある。また、腫瘍浸潤リンパ球の多い腫瘍、少ない腫瘍の特徴を検討することで治療効果の高い症例が抽出できる可能性が考えられる。今回、新規治療標的分子の検索を行うべく、まず、臨床検体を用いた免疫染色により、その候補分子の絞り込みを行う。具体的には、膵癌や食道癌といった難治性癌に対して、その腫瘍内発現の程度が臨床的な予後との関連が報告されているHVEM、Nectin4に着目して神経芽種臨床検体で免疫染色による腫瘍内発現と臨床学的予後との関連を検討中である。特に再発症例や化学療法抵抗性の症例との関連を中心に検討を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定通り、小児固形癌における新規治療候補分子の絞り込みのため、まず臨床検体の多い神経芽種を用いてT細胞不活化、抑制分子として知られているHVEM、Nectinファミリーの一つであるNectin4に着目し、免疫染色を施行した。臨床検体が少なく、貴重であるため、染色条件を他検体で決定し染色を行った。症例数が少ないため、評価が難しいが、これらを治療標的としてIn vitroの実験に進めていくべきか、文献的な検討を行っている。特に再発症例や化学療法抵抗性の症例では同一症例でも腫瘍内で複数箇所の染色を行い、結果の評価を行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
今回の研究では治療候補分子の絞り込みが非常に重要となるため、現時点で得られている知見を文献検索し、免疫染色の結果を病理診断学の先生に相談することでさらに評価を厳密に進めていく。HVEMやNectin4が他の癌腫でどのような働きをしているのか、新たな知見がないか、文献的に検索する。特に再発症例や化学療法抵抗性の症例では同一症例でも腫瘍内で複数箇所の染色を行い、結果の評価を行っている。治療候補分子の絞り込みができればIn vitroの実験に進めるため、細胞培養など実験に必要な準備を進めていく。
|