新生児・乳児に発症する重症胆汁うっ滞疾患である胆道閉鎖症においては、標準術式である肝門部空腸吻合術の成績向上にもかかわらず黄疸が完全に消失しない症例が3割ほど存在し、肝移植が適応となることもある。しかしながら、ドナー不足など重大な課題が未解決であり、自己肝機能を向上させるような新規治療戦略の開発が必要と考えられる。本研究は、①胆管上皮に純化したラットオルガノイド培養の確立を目指し、②総胆管結紮による閉塞性黄疸モデルラット脾臓に移植することを計画する。これら技術を確立できれば、生命予後・胆管上皮の組織形態・分子発現変動の評価をおこない、その治療効果を検証するものである。 これまで、①については、充分量かつバイアビリティの高い胆管上皮を単離する条件検討を進めてきたが、オルガノイドとして安定して培養してその後のアッセイに使用できるまでの実験系確立に至っていない。②について、昨年度は予備実験としてマウス総胆管結紮により安定して生存しつつも閉塞性黄疸を示すモデルを作成してきたが、本年度はラットでのモデル作成に取り組んできた。術中操作や術後生存率を安定させ、閉塞性黄疸モデルとしての組織・生化学評価を進めてきているがまだその後の解析には使用できていない。
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