肝細胞癌の予後は未だ不良で治療も十分とはいえない。治療抵抗性の原因として癌幹細胞の関与が考えられている。本研究では、手術に比べてはるかに低侵襲な採血だけで、肝細胞癌を捉え、癌幹細胞を培養することで、その性質を分析し治療に応用することを目的として、11人の癌患者からの血液サンプルを分析した。血液中から少数の癌細胞をうまく捉え、それを増殖させて癌幹細胞を捉える、更に分子生物学的に分析するといった各ステップで大きなハードルがあったが、種々の工夫によってクリアできた。本研究の成果は癌患者の血液からリアルタイムに癌細胞を採取し分析する方法を確立したもので、医学的、学術的にも大きな成果である。
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