研究実績の概要 |
本研究は令和3年度に動物実験は概ね予定通り進み進んだ。令和4年度は、その動物実験データの評価と解析を行うことによって、肝臓の血流状態を識別する計算式を決定しそのアルゴリズムを有するビデオスペクトルカメラ試作機を企業との共同研究によって作製した。計画していた臨床研究は実施できなかった。 令和3年度は動物実験(ブタ,n=6)を実施。以下に成果を示す。ハイパースペクトルカメラは国内生産している機器メーカーからレンタルし、取得したデータは共同で解析した。光源はハロゲンライトを使用。 ブタを開腹し、以下の静止画での分光画像を取得した。(1)正常時の肝実質や肝静脈、門脈、胆管などの肝臓の構造物や胆嚢、膵臓、リンパ節などの発するスペクトル、(2)5分間の左動脈クランプによる虚血時のスペクトルと再灌流時のスペクトル、(3)5分間の左門脈クランプによる虚血時のスペクトルと再灌流時のスペクトル、(4)左動門脈同時クランプによる虚血時のスペクトルと再灌流時のスペクトル、(5)右肝静脈クランプによる鬱血時のスペクトルと再灌流時のスペクトル、(6)実際に肝切除を行い、肝切離面の肝実質、露出した肝静脈や肝内グリソン鞘の分光画像 以上の動物実験の分光解析により肝臓の灌流、虚血、鬱血を識別できる最適な波長や波長の組み合わせ、計算式を決定し、独自のスペクトルアルゴリズムを作成し、それを搭載したビデオスペクトルカメラを作製することに成功した。そのビデオスペクトルカメラを用いて動画レートでの肝臓の血流評価を行った。左肝動脈クランプ、左門脈クランプ、左動門脈同時クランプによる虚血領域、右肝静脈クランプによる鬱血領域のスペクトル変化、またそれぞれのクランプ解除後の再灌流時のスペクトル変化の描出が動画レートで可能であった。 貴重な研究成果が得られたため、企業との共同研究に発展し2023年企業との共願で特許出願するに至った。
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