近年、腫瘍近傍に出現する異所性リンパ構造であるTertiary lymphoid structure (TLS)が腫瘍免疫微小環境の形成に重要な役割を果たし、ICIの治療効果とも密接に関与することが明らかとなってきた。本研究では、TLSの形成において重要な役割を果たす濾胞性ヘルパーT (Tfh) 細胞とレジデントメモリー様腫瘍浸潤T(RMlike-T)細胞に着目し、次世代型CAR-T療法のプロトタイプの作成を目的とする。そのために、大腸癌マウスモデルを用いて①Tfh細胞とRM-like T細胞の誘導機構を解明し、②Tfh細胞による養子免疫療法の効果とメカニズムを検討する。さらに、ヒト大腸癌の治療に応用するため、③ヒト大腸癌切除標本におけるRM-like T細胞とTLS構造およびTfh細胞との相関性を明らかにする。大腸癌免疫微小環境に注目し、この制御に基づく養子免疫療法を提案し、治療成績の向上を目指す。 まず、大腸癌細胞株MC38(MC38-OVA)の皮下接種モデルに対し、Tfh細胞を投与し、抗腫瘍効果と腫瘍内の変化を検討する。Tfh like 細胞を準備する。Tfh としての機能評価をin vitro で行う。Tfh の機能評価として、①RM-T 細胞(CD8+CD103+)の誘導能、②エフェクター機能の評価、③Tfh 細胞の細胞傷害性、④腫瘍内B 細胞の抗原提示能の評価、および⑤腫瘍内B 細胞の細胞傷害性を評価する。 また、大腸癌手術症例のTIME分析深層学習アルゴリズムを用いた病理診断を行う。TLS、Germinal center (GC)、腫瘍内CD8+T細胞、Tfh細胞の評価を行う。
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