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2022 年度 実施状況報告書

潰瘍性大腸炎におけるRNA編集に基づく発症機序解明と発癌予測バイオマーカーの探求

研究課題

研究課題/領域番号 21K16422
研究機関岡山大学

研究代表者

近藤 喜太  岡山大学, 大学病院, 助教 (50534765)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードRNA editing / 潰瘍性大腸炎 / 大腸癌 / バイオマーカー
研究実績の概要

背景と目的:潰瘍性大腸炎(UC)は、大腸炎関連大腸新生物(CAN)を発症する可能性がある。アデノシン-イノシンRNA編集は、RNAに作用するアデノシンデアミナーゼ(ADAR)によって制御され、AZIN1を含む重要な癌遺伝子の転写後修飾を誘導し、大腸癌の発生につながる。そこで、ADAR1がUCにおけるCANの発症に関与している可能性があると考えた。
方法:UC139例(急性期40例、寛解期73例、CAN26例)のコホートを系統的に解析した。炎症の程度はMayo endoscopic score (MES)を用いて評価した。
結果: 1型IFN関連炎症経路は、活動性UCの直腸、UC-CANの直腸、UC-CAN患者の腫瘍部位で発現が上昇した。ADAR1の発現はCAN症例の結腸全体でアップレギュレートされていたが、非CANのMES0症例ではダウンレギュレートされていた。直腸におけるADAR1発現は、p53やβ-カテニンよりもCANの発症をよく予測し、曲線下面積AUCは0.93であった。UCにおけるADAR1の高発現とAZIN1 RNA編集の高発現は、in vitro解析でFusobacteriumなどのUC特異的マイクロバイオームからの1型IFN刺激が引き金となった。フソバクテリウムによって発現が促進されるADAR1によるAZIN1 RNA編集の誘導は、UCの発がんを誘発する可能性がある。
結論:MES0型UC患者の直腸におけるADAR1発現を評価することでCANのリスクを評価することができ、UC患者を不必要な大腸内視鏡検査から解放し、患者の身体的負担を軽減することができる。RNA編集はUCの発癌に関与している可能性があり、UCにおけるCANの予防や治療を促進するために利用できる可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

臨床サンプルの解析は順調に完了している。炎症性腸疾患マウスモデルの構築を行いたいが、若干遅れが生じている。

今後の研究の推進方策

臨床サンプルの解析はおおむね終了した。今後は動物モデルを作成し、RNA編集を抑制することによる発癌抑制モデルを作成したい。

次年度使用額が生じた理由

動物モデルの作成を行っており、候補薬剤の選定に手間取ったため。
使用計画としては、次年度実施予定の前述した動物モデル作成等に必要な費用に充当する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)

  • [雑誌論文] RNA Editing is a Valuable Biomarker for Predicting Carcinogenesis in Ulcerative Colitis2023

    • 著者名/発表者名
      Kazutaka Takahashi, Kunitoshi Shigeyasu, Yoshitaka Kondo, et al.
    • 雑誌名

      J Crohns Colitis

      巻: 17 ページ: 754-766

    • DOI

      10.1093/ecco-jcc/jjac186

    • 査読あり / 国際共著

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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