研究課題
本研究の目的は「癌オルガノイド を用いた浸潤・肝転移大腸癌モデルでの検討から、apCAFによる腫瘍免疫応答調節を介した癌免疫療法治療抵抗性メカニズムの 解明及び大腸癌新規治療法の開発に寄与すること」である。最初にヒト大腸癌間質組織におけるapCAF発現の臨床病理学的意義に関する検討に着手し、ヒト遺伝子発現情報データベースを用いた大腸癌の解析により、癌間質部分から分離培養された線維芽細胞においてapCAFマーカーは正常部に比較し 上昇、肝転移巣ではさらに上昇していることが確認された。ヒト大腸癌組織標本を用いた免疫組織学的染色を行い、癌 間質細胞におけるapCAFマーカー発現と大腸癌患者の予後との関連を解析し、癌間質細胞陽性症例において陰性症例と比較し有意に無再発生存期間が不良である ことを明らかにした。さらに線維芽細胞マーカーとapCAFマーカーの蛍光二重染色により大腸癌間質にapCAFマーカー陽性線維芽細胞が同定され、Stage IIに比較 しStage IIIでより高率に陽性症例が認められた。これらの結果は線維芽細胞における抗原提示能が腫瘍免疫及び腫瘍進展に関与していることを示唆しており、 癌細胞―間質線維芽細胞相互作用がapCAFを介して腫瘍免疫を制御している可能性が考えられる。続いて、CAFの集積を特徴とするCMS4癌に酷似した高悪性度大腸癌をマウス直腸に形成するMTO(大腸癌の責任遺伝子4種の変異を導入し樹立されたオルガノイド)を用いて直腸同所移植腫瘍からフローサイトメトリーでCAF (podoplanin陽性細胞)を抽出したところ、CAF全体のうち26%がapCAF (podoplanin/MHC classII陽性細胞)であった。現在、apCAFの抽出に成功しており、今後ゲノムシークエンス解析を用いた機能解析を施行中である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件)
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