研究課題
(1)健常人末梢血からCD3抗体とr-IL-2で培養し活性化したT細胞のCXCL-11(1000ng/ml)に対する遊走能を検討したところ、PMA活性化好中球の存在下で劇的に減少し、その変化はDNase IによるNETsの分解や、遠心分離によってNETs成分を除去しても変化はなかったが、カタラーゼ(800u / ml)で前処理するとキャンセルされた。また、活性化T細胞のplastic plate上のrandom migrationをタイムラプス動画で観察すると、PMA刺激好中球の上清の添加で劇的に抑制された。また、活性化T細胞の遊走はLPS活性化好中球によって有意に阻害されたが、NETsを除去するとその抑制は部分的に解除された。ウエスタンブロッティングにてCXCL-11はLPS刺激好中球に由来するNETsによって完全に分解されたが、DNAseIやプロテアーゼ阻害剤であるPMSFが共存でその抑制は解除阻害された。以上のことから、活性化好中球はNETsを含めた複数のメカニズムでT細胞の浸潤を抑制する作用を持つことが明らかとなった。(2)ヒト卵巣癌におけるNETsと免疫細胞浸潤の検討卵巣癌の48例の手術切除検体を用いて、組織切片を作成、NETsに特異的なCit-H3抗体を用いてNETsを同定するとともに、好中球、マクロファージ、リンパ球のフェノタイプとその密度を免疫染色にて検討した。CD66b(+)/citH3(+)NETsの密度と, CD3(+)/CD8 (+)T細胞の密度は逆相関することが解った(r=-0.594, p=0.013)。このことから、ヒト癌組織でのNETsの存在はエフェクターT細胞の浸潤を抑制する方向に働いていることが示唆された。
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