がん幹細胞は、がん組織の中に存在し、分裂して自身と同じ細胞を作り出すほか、がん細 胞を増やして腫瘍を一から構成する能力を持ち、抗がん剤や放射線に対する耐性を示す。こ のがん幹細胞を制御することが、がんの再発や転移抑制に重要であることは明らかであるものの、がん幹細胞に対して真に有効な抗がん剤はほとんど存在しない。そこで本研究課題では、大腸がん幹細胞で発現上昇しているPP6の発現調節機構の解析や活性調節因子の同定などを行い、大腸がん幹細胞の制御を可能とする新規抗がん戦略の構築を目的とする。 本研究課題では、上記目的の達成のために、項目①がん幹細胞でのPP6の発現調節機構の制御が、がん幹細胞に与える影響の解析、項目②PP6-PP6R2 複合体が、がん幹細胞に与える影響の解析、項目③PP6活性制御因子の探索とがん幹細胞に与える影響の解析、の3項目の解析を行うことを予定していた。 その結果、本年度は項目③においてはPP6の新規結合因子p62を同定し、PP6がp62のリン酸化制御に関与していることを明らかにした。p62のリン酸化は、がん幹細胞でNrf2の制御に関与することが知られており、p62がNrf2に与える影響の解析を行った。
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