研究課題/領域番号 |
21K16438
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
奥野 正隆 愛知県がんセンター(研究所), 分子診断TR分野, 研究員 (80896689)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 肝臓癌 / PDXモデル / プロテオミクス / 細胞表面タンパク質 |
研究実績の概要 |
肝臓癌はもっとも予後が不良な固形癌のひとつである。近年のゲノム解析技術の目覚ましい進歩にもかかわらず、切除不能進行肝臓癌に対する有効な化学療法は限られており、革新的なアプローチによる新規治療法の開発が急務である。そこで、本研究では、プロテオミクスを用いた革新的なアプローチによって、肝臓癌の克服に取り組む。細胞表面タンパク質は、癌において機能的に重要な役割を果たしているだけでなく、その局在から、直接的な治療標的としても非常に有望である。細胞表面タンパク質は細胞内タンパク質に比べて極めて微量であることから、本研究では肝臓癌患者から外科手術によって採取された腫瘍検体を用いて患者腫瘍組織移植(patient-derived xenograft; PDX)モデルを樹立し、PDX腫瘍を用いて細胞表面タンパク質(サーフェスオーム)解析とリン酸化タンパク解析による活性化シグナル経路同定を中心とした網羅的多層プロテオーム解析を行う。 本年度は、PDXモデルの作成を中心に研究を行った。現在までに肝臓癌2症例についてPDXモデルを作成した。現在各PDX腫瘍のエクソーム解析、RNAシーケンス解析を行っており、またプロテオーム解析の準備を進めている。また、並行して進めていた、マウス肝臓癌モデルから細胞株2株の樹立に成功した。マウス肝臓癌細胞株については、エクソーム解析、RNAシーケンス解析を完了し、データ解析を進めるとともに、薬剤耐性株の樹立から、耐性化の分子メカニズム解明を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までに肝臓癌2症例についてPDXモデルを作成した。PDXモデルの作成効率が想定よりも低く、マトリゲルを使用するプロトコルに変更した。またプロテオーム解析については、コロナ禍により、解析予定に遅れが生じたためRNAシーケンス解析を先行した。今年度はプロテオーム解析を集中的に進める予定である。また、MC4R欠損マウスの肝臓癌組織から細胞株2株の樹立に成功し、エクソーム解析、RNAシーケンス解析を完了し、データ解析を進めている。さらにこのマウス肝臓癌細胞株2株について、ソラフェニブ、レンバチニブに対する感受性解析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
PDXモデルの作成を継続する。RNAシーケンス解析から同定した新規治療標的分子の機能解析と並行して、プロテオーム解析を行う。マウス肝臓癌細胞株については、薬剤耐性株を樹立し、耐性化の分子メカニズムを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、プロテオーム解析計画にずれが生じたため、次年度使用額が生じた。解析計画を修正し、今年度使用する予定である。
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