研究課題
本研究は,肝線維化・肝癌の動物実験モデルとヒト肝癌手術検体を使用して,single-cell RNAシーケンスおよび空間トランスクリプトーム(Visium)解析によって肝癌微小環境における癌関連線維芽細胞(CAF)の機能に着目し,肝線維化の進展から肝発癌増殖の過程でmyofibroblast/CAFの活性化に寄与する遺伝子発現マーカーの探索を目標としている.①肝線維化・肝癌の動物実験モデルの検証:I型コラーゲン発現をGFPで標識するCol-GFPレポーターマウスに対して,diethylnitrosamine (DEN)で肝癌を誘発し,さらに四塩化炭素(CCl4)またはNASH(コリン欠乏高脂肪食)による肝障害と肝線維化を誘導した.このモデルにおいて背景肝の線維化とmyofibroblastの増殖とともに,腫瘍内にも線維沈着とCol-GFP陽性でαSMAを発現するCAFの浸潤を確認し,動物実験モデルを確立した.このマウス肝臓の組織切片を作成してVisium解析を行った.腫瘍が不均一な細胞集団で構築されており,CCl4とNASHの異なる肝障害の成因によって,肝癌の遺伝子発現に特徴的な差異があることを確認した.②ヒト肝癌検体を用いたVisium解析:ヒトの肝細胞癌に対する切除標本の組織切片を用いて,肝癌微小環境における癌細胞とCAFの遺伝子発現プロファイルをVisiumを用いて解析を行った.腫瘍細胞は主にGPC3を発現するクラスターとして局在が示され、miignant hepatocyteとして特徴的な遺伝子発現を有する4つのクラスターに分類された.また腫瘍内のCAFや免疫細胞を含む間葉系細胞を5つのクラスターに分類した.CAFは背景肝のmyofibroblastから連続性をもって分化増殖し,CXCL13等を介して腫瘍免疫応答の調整と免疫回避に関連している可能性が示唆された。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件)
Hepatology Research
巻: - ページ: -
10.1111/hepr.14031
Annals of Gastroenterological Surgery
巻: 7 ページ: 871~886
10.1002/ags3.12692
巻: 7 ページ: 42~52
10.1002/ags3.12612
Carcinogenesis
巻: 45 ページ: 119~130
10.1093/carcin/bgad094
Langenbeck's Archives of Surgery
巻: 408 ページ: -
10.1007/s00423-023-02908-2
Surgery
巻: 173 ページ: 435~441
10.1016/j.surg.2022.10.005
肝胆膵
巻: 86(3) ページ: 430-432
巻: 87(6) ページ: 729-736