研究実績の概要 |
2022年度は手術侵襲ストレスに伴う蛋白異化程度を評価することで、腹腔鏡下肝切除術の開腹に対する低侵襲性を証明する研究を行った。開腹と腹腔鏡の手術侵襲度評価には術式の統一が必須であり、肝外側区域切除術を行った手術症例を対象とした後方視的検証を行った。2010年から2020年に行った肝外側区域切除症例を研究対象とし、研究期間に計31例施行していた。術式の内訳は開腹群13例、腹腔鏡下郡18例であった。蛋白異化程度の評価は、サルコペニア評価で用いられるpsoas muscle index(PMI)の術前・術後の変化量と規定し、その測定は術前・後に撮像するCTで行った。結果は、開腹群は腹腔鏡下郡と比較して有意にPMI変化量が大きく(p<0.01)、腹腔鏡下郡の低侵襲性を蛋白異化の観点から示唆することができた。また、術前後のPMI変化量が手術侵襲度評価に有用かの検証では、手術侵襲度評価に有用と報告されているestimation of physiologic ability and surgical stress (E-PASS)との相関を評価した。結果は術前後のPMI変化量とE-PASSスコア(surgical stress score: SSS)は強い相関を示し(r=0.561, p<0.01)、術前後のPMI変化量は手術侵襲度評価に有用であることが示唆された。この結果は、” Surgical stress evaluation of left lateral sectionectomy based on skeletal muscle catabolism”という表題で論文発表を行った(Surgical Laparoscopy, Endoscopy & Percutaneous Techniques 32(4):p 435-440, August 2022.)。
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