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2021 年度 実施状況報告書

細胞容積調整機構に注目した細胞生理学的アプローチによる大腸癌幹細胞機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 21K16456
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

工藤 道弘  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (20804264)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワード大腸癌 / イオン輸送体 / 低浸透圧 / 癌幹細胞
研究実績の概要

ヒト大腸癌細胞株HT29, T84より、癌幹細胞マーカーALDH1を用いて癌幹細胞を抽出し、継代培養することに成功した。これを細胞容積変化を測定可能でるMultisizerを用いて、低浸透圧刺激を加えた際の容積変化を評価したところ、起源の癌細胞株では細胞増大後、容積が元に戻ろうとするregulatory volume decrease(RVD)が生じることに対して、癌幹細胞ではRVDは生じず、比較的低い浸透圧においても細胞増大そのものが抑制されていた。この現象は、細胞のviabilityを検証する実験でも結果が一致しており、低浸透圧刺激に一定期間曝露し培養後の細胞数を検証する実験で検証したところ、起源の細胞株に対して、癌幹細胞の方が生存細胞数が多いことが判明した。このことから、大腸癌幹細胞は低浸透圧刺激に耐性を有していることが推測された。この機序を調査すべく、HT29由来の癌幹細胞にmicro arrayを施行すると細胞容積調整に関与するイオン輸送体として、CLCN-5, LRRC8a, AQP5が高発現しており、RT-PCR法による再検証でも上昇が再確認された。これらの内、LRRC8aが近年注目される細胞容積調整に関与するクロライドイオンチャネルであるため、この分子に注目してさらに実験を進めることとした。癌幹細胞のLRRC8aをsiRNAを用いてknockdownし低浸透圧刺激時のviabilityを検証したところ、knockdownした癌幹細胞の増殖が抑制されていた。
当初の研究計画ではApoptosisに関連する細胞容積調整を評価する予定であったが、より明確な癌幹細胞が低浸透圧刺激に対する耐性を有するという新たな知見とその機序の一部が解明された。このデータに基づき、より詳細な癌幹細胞における細胞容積調整関連イオン輸送体の変化や役割について検証を継続していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本来の実験仮説とは、異なる結果が導かれているが、意義のある新たなデータが得られている。このデータは癌幹細胞の新たな特徴を明らかなにするものであり、これまでに類似した報告を認めていない。すでに、これらのデータは論文作成を進める段階まで進んでおり、十分に定められた研究期間で完遂できる見込みである。

今後の研究の推進方策

ヒト大腸癌組織から癌幹細胞を直接抽出しこの特徴も評価し、実験データの再検証を行う予定であるが、抽出のプロトコル作成に若干難渋しており、これに代わる手法があれば代替法を行った上で本研究の最終段階とする予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Colorectal cancer stem cells have resistance to hypotonic shock2021

    • 著者名/発表者名
      Shunji Kato
    • 学会等名
      第80回日本癌学会総会

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公開日: 2022-12-28  

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