研究課題/領域番号 |
21K16458
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
行田 悠 順天堂大学, 医学部, 助教 (90838236)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 膵癌 / 癌内線維芽細胞 / PDX / がんオルガノイド / 治療抵抗異性 |
研究実績の概要 |
「膵癌」は、抗癌剤治療中に高頻度に治療抵抗性を示す予後不良な癌である。この治療抵抗性に関して、癌間質に多く存在する癌内線維芽細胞(Carcinoma-associated fibroblasts : CAFs)の関与が判明しつつあるが、その分子機構については不明な点が多い。 そこで本研究は、抗癌剤治療後に外科的に切除された臨床検体から膵癌細胞とCAFsを抽出し、これらの共培養系や共移植patient-derived tumor xenograft (PDX)モデルを駆使して、CAFsがどのように膵癌の治療抵抗性の獲得に寄与しているか、分子レベルで解明する。 CAFsと膵癌細胞の相互作用を媒介する遺伝子やシグナルを同定し、膵癌の薬剤抵抗性におけるCAFsの役割を明らかにする。そして治療効果予測に有用なバイオマーカーの同定や新規個別化治療法開発に役立てることを目的としている。 『膵癌の化学療法感受性、治療抵抗性に対し、CAFsはどのように関与しているのか?』の問いを明らかにするため、21例の手術により摘出された膵癌部および非癌部の検体を採取した。これらの検体を酵素処理後、primary cultureし12例でCAFsおよびコントロールの線維芽細胞のペーアーでの樹立に成功した。 また、がん組織の一部を高度免疫不全NOGマウスに移植し、2症例の膵癌が生着しPDXマウスモデルを作製した。さらにPDX癌塊を採取し酵素処理により癌オルガノイドも樹立した。 1年目は研究に必要な臨床サンプルからの線維芽細胞と膵癌PDXおよびオルガノイドの樹立に成功した。膵癌PDXやオルガノイドに関しては今後症例数を増やす必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
21例の手術により摘出された膵癌部および非癌部の検体を採取した。これらの検体を酵素処理後、primary cultureし12例でCAFsおよびコントロールの線維芽細胞のペーアーでの樹立に成功した。また、がん組織の一部を高度免疫不全NOGマウスに移植し、2症例の膵癌が生着しPDXマウスモデルを作製した。さらにPDX癌塊を採取し酵素処理により癌オルガノイドも樹立した。 1年目は研究に必要な臨床サンプルからの線維芽細胞と膵癌PDXおよびオルガノイドの樹立に成功した。膵癌PDXやオルガノイドに関しては今後は症例数を増やす必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
12例のヒト膵癌由来CAFsおよびコントロールの線維芽細胞の樹立に成功した。膵癌検体のほとんどは術前化学療法後に顕著な癌の退縮がみられず手術により採取されたものである。 このような治療抵抗性を呈した癌より抽出されたCAFsおよびコントロールの線維芽細胞のトラスクリプトーム解析を施行し、治療抵抗性に寄与する分子の同定を今後は試みたい。 膵癌PDXやオルガノイドに関しては実験プロトコルを改良し樹立効率を改善する必要があり、今後は症例数を増やしていくことを予定している。術後の検体をマウスに移植することなくダイレクトにオルガノイドを培養する系も現在構築中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
検体より採取した線維芽細胞や癌オルガノイドの増殖およびPDXマウスの癌増殖が予想より遅く予定していた解析が次年度に延期されたため。
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