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2022 年度 実施状況報告書

膵神経内分泌腫瘍の予後予測のためのイメージングバイオマーカーの開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K16467
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

上田 浩樹  東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (40750071)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード膵神経内分泌腫瘍 / バイオマーカー / インスリノーマ
研究実績の概要

これまで膵神経内分泌腫瘍(Pancreatic neuroendocrine tumors; PanNETs)は低悪性度の希少疾患とされてきたが、実際は転移を伴う進行例が初診時の半数もいることがわかった。World Health Organaization; WHOがNETをG1, G2, G3と分類したが、必ずしもこのWHO分類は臨床的悪性度と一致せず、PanNETsの臨床的悪性度の新しい指標を確立する必要がある。
今回我々はPanNETsの中でもインスリノーマに注目した。インスリノーマは意識障害やけいれんなどの中枢神経症状を含む、多彩な低血糖発作を引き起こし患者のQOLを著しく低下させる疾患である。手術により根治が期待出来、悪性所見を伴わない場合は核出術が推奨されているが、良悪性インスリノーマの鑑別は明らかでない。
当科が経験したインスリノーマ36例を後方視的に解析すると、37例中3例は膵原発巣が非機能性NETであり、肝転移先がインスリノーマとなっていた。男女比は男性15例/女性21例、初回治療時の年齢(中央値,範囲)は56(7-77)であった。手術は32例に施行された。原発巣Ki67(中央値,範囲)は1.5(0.6-41.6)で、WHO分類NET G1/G2/G3はそれぞれ22/9/1例、NECは1例であった。腫瘍径(中央値,範囲)は15(8-120)mmであった。膵原発インスリノーマを切除した30例のうち、術後転移・再発を来した悪性インスリノーマは10例(33%)に認めた。悪性インスリノーマのリスク因子を検討するとG2以上(p=0.026)、MEN1型(p=0.002)、腫瘍径(p<0.001)であった。
これらインスリノーマを含むPanNETs症例に対し臨床検体の組織切片からRNAを抽出し、DNAマイクロアレイを用いて網羅的遺伝子解析を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまで良悪性インスリノーマの鑑別は明らかでなかったが、今回当科のインスリノーマを後方視的に解析し,膵原発インスリノーマを切除した30例のうち、術後転移・再発を来した悪性インスリノーマが10例(33%)に認められたことがわかり、そのリスク因子まで特定出来た。悪性、良性の2群間の遺伝学的背景を比較検討する必要があるが、まず症例の同定・抽出が必要であった。
今回膵原発インスリン―マ、膵原発非機能性腫瘍、転移性肝腫瘍それぞれの臨床検体の組織切片からRNAを抽出し、DNAマイクロアレイを用いて網羅的遺伝子解析を行った。
おおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

抽出した良性悪性インスリノーマ、さらに非機能性腫瘍の臨床検体のガラススライド標本上の組織切片からRNAを追加で抽出し、DNAマイクロアレイを用いて網羅的遺伝子解析を行う。両群間の遺伝子群の変動を同定し、悪性インスリノーマの予後予測に繋がり、かつ治療の標的たり得る分子の探索を行う。標的分子の免疫染色を行い、予後などを検討することで標的遺伝子の意義を検証する。

次年度使用額が生じた理由

おおむね順調に研究が進み、両悪性2群の症例の抽出と臨床検体からの網羅的遺伝子解析提出に至った。これまでは症例の電子カルテデータの後方視的解析と、臨床検体からのRNA抽出が中心で、網羅的遺伝子解析提出が完了していないため、多少の次年度使用額が生じた。
今後はさらに臨床検体のガラススライド標本上の組織切片からRNAを抽出し、DNAマイクロアレイを用いて網羅的遺伝子解析を追加で行う。両群間の遺伝子群の変動を同定し、悪性インスリノーマの予後予測に繋がり、かつ治療の標的たり得る分子の探索を行う。標的分子の免疫染色を行い、予後などを検討することで標的遺伝子の意義を検証する。この過程で、翌年度分として請求した助成金と合わせて使用予定である。

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公開日: 2023-12-25  

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