研究課題
ラット90%肝切除モデルにおける門脈血流変化を7テスラMRIを用いて解析を行い、70%肝切除モデルにおける門脈血流変化との比較を行った。また、その血流情報と切除後の残肝の再生および遺伝子/タンパク発現との関係を現在解析中である。また、左葉グラフトを用いた肝移植後の肝静脈血流を、CT画像に基づいたcomputational fluid dynamics を用いて解析した。14例を対象に解析を行い、主肝静脈の吻合部狭窄としてIVRを施行された症例では、解析で得られた圧較差が有意に5mmHg以上と高値であることが確認された。これにより、移植後の肝静脈outflow blockが疑われる場合には、血管造影を行わずに非侵襲的に診断が可能であることが示唆された。さらに、肝静脈吻合にに有意な圧較差のある症例では、移植後の腹水が遷延し、グラフト肝の再生が不良であることが明らかになった。これらのことから、肝静脈圧較差が生じる症例では、早期に診断し早期に治療介入することの必要性が示唆される結果であった。
2: おおむね順調に進展している
ラット肝切除モデルに対する撮像および画像解析は順調に進めており、最終のデータ解析中である。また、ヒトに対するMRIの撮像は、コロナウイルスの影響により進められなかったが、CT画像に基づくComputational fluid dynamicsによって解析を進め得た。
ラット肝切除モデルに対するMRI解析については画像データの最終解析を終え、残肝の遺伝子・タンパク発現および血中の各種サイトカインの発現についてアッセイを進めた後に論文化の予定である。また、肝移植後の肝静脈血流に対するcomputational fluid dynamics 解析についても、論文投稿を準備中である。
概ね予定通りに研究を進め予算を消化したが、外注する画像解析の1回当りの費用が高額であり、残額では不足した。このため、この残額を次年度に持ち越して、解析費用に当てることとした。
すべて 2021
すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)