研究実績の概要 |
本研究の学術的背景:近年、癌治療に対する外科治療、化学療法、放射線療法に加えて免疫療法、特に免疫チェックポイント阻害薬 (immune checkpoint inhibitor; ICI)が新たな治療法として注目されている。 ほぼ全ての固形癌において免疫チェックポイント阻害薬が承認され、免疫チェックポイント阻害薬の治療効果予測や副作用対策は臨床的にも極めて重要な課題である。 ヒトの腸管内には100兆個以上の多種多様な細菌が共生し、細菌叢 (腸内フローラ) を形成している。次世代シーケンサーの開発に伴い腸内フローラについての研究が急速に発展し、腸内フローラの組成と免疫チェックポイント阻害薬の効果に関連があることや、効果が認められた患者において検出率の高い菌を含む便の移植によりマウスにおける免疫チェックポイント阻害薬の効果が上がることも報告されている[Science. 359:91-7,2018.]。 インドールは肝臓でインドキシル硫酸となり尿細管から分泌排泄される。尿中インドキシル濃度の測定は、便秘、吸収不良、腸内フローラ構成の異常などの腸内環境の悪化により、トリプトファンから産生されるインドールが異常亢進した状態の把握に用いられている[Dig Dis Science; 53:1443-54,2008]。 現在、健常者及び同意の得られた患者からの検体を採取し、INDOOLEキットと尿中インディカンキットを用いて、健常者と癌患者との間にインドール値の差があるかどうか検証中である。まだ検体数が少ないため、更なるデータ集積が必要であると考えられる。
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