研究課題/領域番号 |
21K16479
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
野田 昌宏 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (40836128)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 腸内フローラ / インドキシル硫酸 / 免疫チェックポイント阻害薬 / 化学療法 |
研究実績の概要 |
本研究の学術的背景:近年、癌治療に対する外科治療、化学療法、放射線療法に加えて免疫療法、特に免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor; ICI)が新たな治療法として注目されている。ほぼ全ての固形癌において免疫チェックポイント阻害薬が承認され、免疫チェックポイント阻害薬の治療効果予測や副作用対策は臨床的にも極めて重要な課題である。 ヒトの腸管内には100兆個以上の多種多様な細菌が共生し、細菌叢(腸内フローラ)を形成している。次世代シーケンサーの開発に伴い腸内フローラについての研究が急速に発展し、腸内フローラの組成と免疫チェックポイント阻害薬の効果に関連があることや、効果が認められた患者において検出率の高い菌を含む便の移植によりマウスにおける免疫チェックポイント阻害薬の効果が上がることも報告されている[Science. 359:91-7,2018.]。インドールは肝臓でインドキシル硫酸となり尿細管から分泌排泄される。尿中インドキシル濃度の測定は、便秘、吸収不良、腸内フローラ構成の異常などの腸内環境の悪化により、トリプトファンから産生されるインドールが異常亢進した状態の把握に用いられている[Dig Dis Science; 53:1443-54,2008]。現在、健常者及び同意の得られた患者からの検体を採取し、INDOOLEキットと尿中インディカンキットを用いて、健常者と癌患者との間にインドール値の差があるかどうか検証中である。まだ検体数が少ないうえ、同一被験者におけるインドキシル硫酸値にもばらつきがあるため、更なるデータ集積が必要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
健常者及び大腸癌患者、食道癌患者において同意を得られた患者より検体採取し、測定している。検体及び症例の集積中である。本年度は同意を得られた患者数、検体数が少なかったため予定より遅れている。また、同一被験者から複数日にそれぞれ検体を採取したところ、日によってインドキシル硫酸値に差が認められた。原因は不明であり摂取した食物や体調の違いによる可能性がある。がん患者においてもばらつきがあり、現時点で癌の進行や化学療法の感受性などの明らかな傾向は見出せていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後、さらに症例や検体の集積を進めるが、患者の食生活(プロバイオティクスなど)や体調の変化により結果が左右される可能性があるため、食事情報についても可及的に調査することが望ましい。
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次年度使用額が生じた理由 |
同意が得られた症例が少なく、測定キットを次年度に購入する予定である。
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