研究課題
癌細胞の増殖は多くのエネルギーを必要とするが、そのエネルギー産生は効率の悪い解糖系が主とされて、他にもエネルギー産生経路が存在することが疑われる。申請者らは、大腸癌患者の排便時の排ガス成分や大腸癌モデル細胞における代謝物の分析で含硫黄関連物質が増加していたことから、含硫黄代謝物のエネルギー産生経路への関与を考えた。本研究ではこの仮説を検証する第一歩として、上記硫黄関連物質の増加が癌細胞由来であるかどうかを確認するために、大腸癌手術検体の癌部と非癌部の含硫黄代謝物量を液体クロマトグラフィー質量分析計で比較する。横浜市立大学倫理委員会に研究計画書を提出し承認後、大腸癌患者さんより研究の同意を得た。preliminaryなdataとして、大腸癌患者さん1例より手術標本摘出時に癌部と非癌部の粘膜組織を採取した。含硫黄代謝物量を液体クロマトグラフィー質量分析計で比較したところ、癌組織でcysteine persulfideとtrisulfideが正常粘膜に比べて増加していることが分かった。大腸癌組織における上記代謝物の報告はこれまでにないため、症例報告として論文化した(J Int Med Res. Fukuoka H, et al. 2021 Nov;49(11):3000605211059936. doi: 10.1177/03000605211059936.)。現在、さらに症例を集積中である。
2: おおむね順調に進展している
preliminaryなdataを症例報告として論文化したため(J Int Med Res. Fukuoka H, et al. 2021 Nov;49(11):3000605211059936. doi: 10.1177/03000605211059936.)。
症例を集積し、まとめて含硫黄代謝物の測定を行う予定である。
次年度の交通費として使用予定
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Journal of International Medical Research
巻: 49 ページ: 1,9
10.1177/03000605211059936.