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2021 年度 実施状況報告書

フェロトーシス感受性を制御するがん代謝の解明とそれを応用した新規化学療法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 21K16484
研究機関自治医科大学

研究代表者

山田 直也  自治医科大学, 医学部, ポスト・ドクター (50611787)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワードフェロトーシス / 肝細胞癌 / がん代謝 / アミノ酸
研究実績の概要

フェロトーシスはRAS遺伝子変異を有する癌細胞を選択的に死滅させる低分子化合物のスクリーニングから見出された細胞死であり、これを標的とすることで新たながん化学療法につながると期待されている。一方で、フェロトーシスを標的とする治療法はこれまで臨床応用されておらず、生体内で正常細胞への障害を最小限にしつつ、かつ癌細胞に対してより選択的にフェロトーシスを誘導する(すなわち、高い抗腫瘍効果を得られる)方法の確立が必要とされている。がん細胞はワールブルグ効果に代表される、正常細胞とは異なるエネルギー代謝機構(がん代謝)を有することが知られているが、これを標的とすることで、正常細胞への少ない影響で、効果的ながん治療につながると考えられている。
我々は肝癌由来細胞株Huh-7に対し、がん代謝に影響を及ぼす低分子化合物Xを添加した場合にのみ、グルタチオン合成阻害剤であるブチオニンスルホキシミン(BSO)によるフェロトーシスが誘導されることを見出した。遺伝子発現解析から、低分子化合物Xの存在下では、Huh-7細胞は複数のアミノ酸トランスポーターの発現上昇を認め、細胞内飢餓(アミノ酸欠乏)を示す遺伝子発現変化が認められた。細胞内飢餓の場合には、様々なストレスシグナルが働くことが知られるが、あるストレスシグナルをノックアウトした場合には、上記で誘導されるフェロトーシスに対し抵抗性を示し、Xによるフェロトーシス誘導効果を発揮するストレスシグナルを同定した。低分子化合物Xによるフェロトーシス誘導効果は、PLC/PRF/5やSKHep1、HLEなどのより低分化・未分化な肝癌細胞株においても認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

肝癌細胞株において、がん代謝の制御によるフェロトーシス誘導を可能にする低分子化合物Xを同定し、そのメカニズムとしてアミノ酸代謝の変化と、それに伴うストレスシグナルを同定した。さらには、その効果は複数の肝癌細胞株でも認められた。以上から本研究の鍵となる薬剤と、フェロトーシス誘導につながるメカニズムの一部を解明しており、概ね順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

低分子化合物Xによる癌細胞に対するフェロトーシス誘導効果と、正常細胞に対する安全性を生体レベルで検討を行う。具体的には、ヌードマウスに対し、肝癌細胞株を皮下移植、もしくは腹腔内播種を行い、Xとフェロトーシス誘導剤を投与し、抗腫瘍効果と臓器障害(心、肺、肝、腎、血液)にてういて評価を行う。

次年度使用額が生じた理由

コロナ感染蔓延や社会状況の影響により、実験に必要な資材の入手が困難になり、研究の遅延が生じ計画の立て直しが必要となったため、試薬や実験動物購入などに使用予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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