研究課題/領域番号 |
21K16486
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
奥野 将之 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10844011)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 肝細胞癌 / 血管新生 |
研究実績の概要 |
肝細胞癌におけるvessel co-optionの実態の解明として、無治療の初発HCCに対して肝切除術を受けた患者の手術検体の腫瘍部のHE染色標本、および血管内皮細胞マーカーを用いた免疫染色を行った。これを共同研究機関に送付して病理学的評価を行い、それぞれの症例における腫瘍の増殖パターンをvessel cooptionに基づいて分類した。この結果、肝細胞癌におけるvessel co-optionの頻度は約25%であり、血管新生の増殖パターン(angiogenesis) が約75%であった。 また、肝切除後を行った後に再発し、sorafenib、lenvatinib、regorafenib、ramucirumabといった血管新生阻害を作用機序とする薬剤の投与を受けた患者の無増悪生存期間、全生存期間を解析し、vessel cooptionに基づいた増殖パターンとの関連を評価した。この結果、統計学的有意差は認めないものの、vessel cooptionの増殖パターンを有する症例ではangiogenesisと比較して無増悪生存期間、全生存期間ともに不良であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存の手術検体を用いて標本を作製し、増殖パターンを分類すること、および肝切除後に再発した症例の予後と増殖パターンとの関連についての検討は予定通り行うことができた。血管新生阻害薬の投与を受けた後に肝切除を行った症例は現時点では少数であり、今後の症例蓄積を待つ必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
既存の手術検体を用いて標本を作製し、増殖パターンを分類すること、および肝切除後に再発した症例の予後と増殖パターンとの関連についての検討は予定通り行うことができた。しかしながら症例数が不十分で、有意差が得られなかったことから他の施設からも標本の提供を受けてさらに症例数を増加させることとする。 また、血管新生阻害薬の投与を受けた後に肝切除を行った症例は現時点では少数であり、今後の症例蓄積を待つ必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究は概ね予定通りに進んでいるが、実験に必要となる消耗品の経費が予定よりも低額となった。
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