研究課題/領域番号 |
21K16490
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
立石 渉 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (50722378)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 大動脈弁石灰化 / PD-1/PD-L1 / 免疫チェックポイント |
研究実績の概要 |
大動脈弁狭窄症(AS)の病変である大動脈弁石灰化の発症や進行を制御する治療方法は、これまで開発に至っていない。ASが発症・進行する因子として、これまでに血流ストレスやLDLによる影響や、マクロファージやT細胞による組織障害、炎症などの影響が示唆されているが、それらを制御するシステムの解明は未だなされていない。我々はヒト大動脈弁組織において、石灰化の程度と細胞傷害性T細胞・単球/マクロファージ・制御性T細胞・PD-1/PD-L1タンパクの発現の程度が相関していることを明らかにした。 免疫制御システムが大動脈弁狭窄の発症、増悪に寄与していることを示すため、我々は免疫チェックポイントタンパクに焦点を当てた。 今回、炎症を起こす原因として頻度が高い、感染の影響について注目し、免疫チェックポイントタンパクとの関連について検討を施行した。石灰化した大動脈弁標本において、感染の指標としてLPSの発現を免疫染色を行い確認、また同部位の石灰化の程度とPD-L1タンパクの発現の関連性を評価した。大動脈弁において免疫染色でLPSを確認することができた弁は存在し、LPSが高度に発現している部位において、PD-L1タンパクの発現が高度であった。またLPS、PD-L1タンパクが高度に発現している部位は、石灰化を生じていることが証明された。 今回の結果から感染によっておきた炎症とそれを制御する免疫システムが、弁の石灰化に関与している可能性が示唆されたと考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
標本の獲得、免疫染色の評価などはほぼ予定通りに施行された。 ただし、COVID-19による研究棟立ち入り禁止の影響や物品購入困難により、免疫染色の進行の遅れ、データ抽出の遅れが生じた。 そのため論文作成、学会への発表への遅延が生じた。
|
今後の研究の推進方策 |
大動脈弁狭窄症の制御にPD-1/PD-L1タンパクや制御性T細胞が制御因子として関与しているとすると、大動脈弁治療後にこれらのタンパクの発現が低下する可能性が考えられるため大動脈弁狭窄症の患者の術前・術後に血清を採取し、PD-1/PD-L1、制御性T細胞の変化を比較を行う。現在、倫理審査中であり、倫理審査採択後に血液を採取しデータを解析する予定である。 また、ASモデルマウスに対してのPD-1/PD-L1阻害薬投与による大動脈弁組織の変化の評価、インターロイキン2投与、制御性T細胞阻害薬投与による大動脈弁組織の変化の評価についても施行する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本来行うはずであった実験、研究が研究の遅延により施行不可能であったため、今年度に行う予定となったため。 用途は当初の予定から変更はない。
|