研究課題
本研究の目的は術中に組織酸素飽和度(rSO2)を測定し、閉塞性動脈硬化症に対する必要十分な血行再建術式を確立することである。皮膚潰瘍を伴う閉塞性動脈硬化症例を対象とし、症例を無作為に2群(術中rSO2測定群、非測定群)に分ける。rSO2測定群では、皮膚潰瘍周囲のrSO2を測定しながら血行再建術を行う。rSO2のカットオフ値を50%とし、この値を越えた時点で、血管病変が残存しても血行再建術を追加しない。非測定群では、従来のように術者の経験と勘を頼りに術中に治療すべき血管病変を決定する。主要評価項目:下肢イベント発生率(再血行再建術、再狭窄、切断術、術後合併症)、副次評価項目:手術時間、入院期間、手潰瘍治癒期間、下肢切断回避率、手術材料費とし、2群を比較する。rSO2測定群の下肢イベント発生率、入院期間、潰瘍治癒期間、下肢切断回避率における非劣性と、手術時間、手術材料費における優越性を示す。術中rSO2測定が、必要十分な血行再建術の確立に貢献することを示す。この下肢動脈閉塞性動脈硬化症の治療方針に関しては今までは外科医の経験や感覚(患者の皮膚の色調やあたたかさ、脈の触れ具合など)により決定されていた。この組織酸素飽和度測定器が外科医の感覚をより客観的に示す一つの指標となると考えている。現在複数の施設にも共同研究を依頼し、術中にrSO2を測定していただき治療の参考にしていただいている。2021年度は10例の症例に対して加療を施行し、追加および手術終了の判断の一助として使用できた。
2: おおむね順調に進展している
この1年間で対象となった患者に対して説明しご理解ご同意いただいた上で術中に組織酸素飽和度を測りながら血管内治療を施行しモニタリングしている。現在10件施行できており、今後も症例を重ねていく方針である。
本研究は対象となる患者さんがいらっしゃらないと難しい。そのため対象となる患者さんすべてに対して説明していく方針である。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件)
Annals of Vascular Disease
巻: 1 ページ: 23‐30
10.3400/avd.oa.20-00132
光アライアンス
巻: 32(2) ページ: 14-17