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2021 年度 実施状況報告書

末期重症心不全における心筋リモデリングに対するM2マクロファージの関与の検討

研究課題

研究課題/領域番号 21K16495
研究機関大阪大学

研究代表者

山下 築  大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (60778661)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワードM2マクロファージ / 重症心不全 / 心筋再生 / LVAD
研究実績の概要

申請書の通り実験計画を進めており、申請者の所属する医学部附属病院において左室補助人工心臓(LVAD)を装着した患者の心筋サンプルを用いて、M2マクロファージの同定を試みている。現在のところLVAD装着時のコアリングされた心筋検体を免疫染色にてM1およびM2マクロファージの分布を調べたところ、以下のことが分かってきた。
<1>摘出された心筋において心内膜側に近い部分でM1ならびにM2マクロファージが混在する検体があること<2>心外膜側においては線維化が高度に進んだ症例が多く、マクロファージの浸潤は同定が困難であること<3>LVAD装着のEtiologyにおいてマクロファージ浸潤のパターンが異なることである。<1>、<2>から示唆されることとしては、従来の予測に反してviabilityのある心筋は冠動脈付近の心外膜側ではなく、心腔に近い心内膜側で観察された。またM1あるいはM2マクロファージのどちらかのみが存在するというよりは両者がほぼ同数程度に混在しており、LVAD装着を必要とする重症心不全の状態においても心筋内に炎症状態が継続しているという非常に興味深い結果が得られた。また<3>に関しては実験前段階においてある程度予測していたが、虚血性心筋症においてM1およびM2マクロファージの浸潤がより顕著であり、異常心筋による心筋症においては心筋サンプルは線維化を呈しており、マクロファージなどの炎症性細胞の浸潤には乏しかった。
また臨床データから予後良好群(LVAD離脱もしくは心臓移植到達)と予後不良群(LVAD装着後の心不全による追加治療必要)における心機能の推移や血行動態の評価、生命予後の検討に関しては概ね良好に解析できている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

心筋サンプルの解析に想定以上に時間がかかっており、予後良好群におけるM2マクロファージの発現型の同定には至っていない。その理由として複数の試薬を使用した免疫染色を行う必要があるが、海外情勢もあり試薬の入手に時間がかかっている。結果として、single cell解析に到達しておらず、実験計画の遅延に繋がっている。

今後の研究の推進方策

免疫染色に必要な試薬の入手に関しては入手の見込みが既にたっており、現在免疫染色に関してヒト検体を用いて目下遂行中である。準備が整い次第single cell解析にも着手し、初年度計画を新年度4半期前半で終了予定としている。Single cell解析を用いて次年度計画であるin vitro実験へ進んでいきたい。

次年度使用額が生じた理由

進捗状況で報告したように海外情勢から必要な試薬や物品の一部が納入されておらず、必要経費の未使用につながっている。結果として前年度予定の直接経費の未使用額が発生している。また予定した結果が未だ得られないことと、海外情勢から学術活動が思ったほど行えず、旅費等の経費も想定を大きく下回っている。次年度においても国際流通の改善が見込まれるか不透明ではあるが、サプライチェーンを国内に切り替え、速やかに研究の遂行に取り組んでいく。

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公開日: 2023-12-25  

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