研究課題/領域番号 |
21K16497
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小林 純子 岡山大学, 大学病院, 助教 (60894970)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | ファロー四徴症 |
研究実績の概要 |
ファロー四徴症は最も発生頻度の高いチアノーゼ性先天性心疾患である。本疾患の予後は右室流出路狭窄および逆流から生じる右心不全に左右され、個々の症例で経過は大きく異なる。しかし本疾患は未だ原因不明であり治療法は確立されておらず、本邦の指定難病とされている。特に、遠隔期の問題である右心不全とその治療法については、多くが未知の状態である。 本研究では、ファロー四徴症の病態の中心となる右室流出路狭窄について、その病態発生メカニズムの解明および予後を予測するマーカーの開発を行う。これまで、我々は先天性心疾患患者から手術中に心臓組織検体を採取し、その組織検体の解析および心臓前駆細胞(Cardiac progenitor cells: CPCs)を精製・分離・培養し解析する技術を確立してきた。これまでに培った技術を用いて、本研究では当院で心臓手術を施行するファロー四徴症および類縁疾患患者から手術中に心臓組織検体を採取し、組織検体の遺伝子変異および遺伝子発現解析を行い、またCPCsを精製・分離・培養を行い解析した。 本研究は患者検体を使用する研究であり、岡山大学病院倫理委員会に研究計画書を提出し、承認を得てから研究を開始した。そして、当院で当該手術を行う患者に対し研究について承認された様式に従って十分な説明をし、同意を得てから手術中に心臓組織検体の採取を行った。患者の個人情報は匿名化して管理し、その取り扱いには十分に配慮を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度の研究実績は、岡山大学病院倫理委員会の所定の様式に従い研究同意を得たうえで、患者心臓組織検体の採取および細胞培養を開始した。検体は少しずつ集まってきているが、COVID-19に伴う手術数減少などもあり、当初の想定よりも緩徐に検体を採取している。
|
今後の研究の推進方策 |
手術患者の出現に合わせた心臓組織検体採取となるため研究の進捗は手術待機患者の状況に左右される側面はあるが、引き続き、確実な検体取り扱いおよび細胞培養手技により、頂いた患者検体を1例1例確実に研究使用できる状態にすることに努めていく。できるだけ早急に遺伝子解析を開始しデータを積み上げていくことで、研究段階の早いうちから候補遺伝子およびその発現異常を検出できるよう努めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19などによる手術数減少から当初の予定よりも検体処理が少なかったことにより、次年度使用額が生じた。 状況は徐々に回復しており、2023年度は検体処理ならびに遺伝子解析を行うため2023年度分助成金と合わせて使用する予定である。
|