研究課題/領域番号 |
21K16498
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
喜瀬 勇也 琉球大学, 病院, 講師 (00468076)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 胸腹部大動脈瘤 / 脊髄血管抵抗 / 脊髄血流量 / 脊髄潅流圧 / 脊髄供血環境 / 脊髄虚血障害 |
研究実績の概要 |
胸腹部大動脈瘤手術(open surgeryおよび血管内ステントグラフト治療)時の重篤な合併症である脊髄虚血障害(対麻痺)は未だ解決できていない重要な課題である。近年の画像検査、基礎研究の成果で大動脈遮断時の脊髄供血路として側副血行路(collateral network)の重要性が認識されるようになった。 実臨床においては脊髄供血環境を推定する術中検査法として1)経頭蓋運動誘発電位(trans cranial motor evoked potential: tc-MEP)を用いて脊髄錐体路の虚血を速やかに検出する方法が一部の施設で用いられているが、電位振幅と脊髄血流の相関を示した研究は少なく、結果の解釈について十分な信頼性がない。また2)近赤外線分光法(Near-infrated spectroscopy: NIRS)による脊椎周囲筋の組織酸素飽和度の測定によって側副路を介した脊髄供血環境を推定する手法も取り入れらているが、同様に脊髄虚血を鋭敏に示しているかわかっていない。 本研究では私たちのこれまでの研究成果を応用し、動物実験を用いてtc-MEPとNIRSを同時測定し、脊髄血流量および脊髄灌流圧との相関を明らかにすることで、tc-MEPとNIRSの臨床での実用性を高める事を目的とした。
本年度の実績:胸腹部大動脈瘤手術に模したビーグル犬を用いて、脊髄血流量及び脊髄潅流圧の測定を確実に行えるようになった。さらに、脊髄血管抵抗の測定も行った。脊髄虚環境についての新たな知見を得たため、それに関して論文執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ビーグル犬を用いた脊髄血流量および脊髄潅流圧の測定は可能となったが、経頭蓋誘発電位を用いたMEP振幅変化の検出が不安定である。 麻酔深度に影響を受けていると考えており、安定した検出ができるよう実験を継続する。
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今後の研究の推進方策 |
MEP振幅の安定した検出が可能となったのち、近赤外分光法(NIRS)を用いた脊髄周囲筋、軟部組織の酸素需給バランス評価を開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験研究実施の進歩状況に遅れがあり、材料購入を次年度使用額に変更した。
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