研究課題/領域番号 |
21K16502
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
向田 宏 順天堂大学, 医療科学部, 講師 (10865679)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 人工心肺 / 酸素供給量 / 目標指向型体外循環管理 / せん妄 / 急性腎障害 |
研究実績の概要 |
ECMOや開心術で使用される体外循環管理では、不適切灌流が原因と考えられる臓器障害が起こることが知られている。その予防に酸素供給量を連続モニタリングし、酸素受給バランスを考慮した体外循環管理が術後の腎機能障害を抑制することが報告され注目を浴びている。しかし、腎機能障害以外の合併症についての報告は少ない。このような背景のもと、腎機能障害以外の合併症、特に中枢神経障害と体外循環管理中の酸素受給バランスとの関連について評価することで、中枢神経障害を抑制する体外循環管理技術の向上を目指して研究に取り組んできた。 本研究では昨年度に得られた結果から、酸素供給量を300mL/min/m2以下にならないような人工心肺管理を行なった症例では、人工心肺灌流量を高く維持していても、ヘマトクリット値が低い場合は術後せん妄リスクとなり得ることを学会発表、および論文発表した。さらに人工心肺中の低灌流、低酸素状態によって上昇が予想される血中バイオマーカーを測定するため検体収集を実施した。人工心肺中のせん妄や中枢神経障害の発症と各酸素受給バランスパラメータとの関連性については昨年度から解析を始め、酸素供給量の連続モニタリングの有効性について検討はできた。しかし、ECMO管理においては症例数が少なく、有効なデータ収集が十分に行えておらず、目標指向型体外循環管理における長期と短期の人工心肺管理の違いについて十分な検討はできていないため、来年度も引き続きデータ収集を行なっていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
血中バイオマーカ測定用検体収集は年度内に実施できたが、目標症例数の検体を度内に収集することができなかったため、測定作業が年度内に完了できなかった。令和5年度に早急に測定作業を開始し、解析する予定である。また、ECMO症例においては、コロナ患者の病態変化(ウイルスの変異)によってECMO管理する症例が減少してため、短期と長期の人工心肺管理の違いの検討について十分行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は収集した検体を用いて、バイオマーカーを測定し解析を行う予定である。測定結果と人工心肺中の酸素受給バランスに関連したパラメータと併せて検討を重ねていき、最適な人工心肺管理技術の提供を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定したELISAキットの納期が未定であったため、早期に発注しなければ研究の遂行ができない可能性が生じたため、令和4年度中に発注をするため前倒し請求を行った。しかし、本研究に必要なELISAキットの確保が見込めたため、今年度必要分のみの発注で物品費を抑えることができた。次年度は研究が進み、測定解析費用、成果発表のために適正に使用していく。
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