TsukushiはSmall leucine rich proteoglycanの一つであり、これまでの研究で肺癌特に肺腺癌の増殖に関与していることを我々は明らかにしてきた。そこでTSKの予後関連マーカーとしての臨床への応用を期待し本研究を行った。2年間の研究を計画し、免疫染色とELIZAを用い肺癌とTSKの予後への関連を明らかにする研究を計画した。まずはじめに免疫染色を行いTSKの組織中の発現レベルと確認した。1年間の予定としていたが、当初の予定よりも研究に使用できる時間に制限があり研究はやや遅れた状態で進行した為2年を要した。また、以前行った際の免疫染色の条件ではうまくいかなかったことから、再度免疫染色の条件を検討する必要があった。そこに非常に時間を要したことも研究が遅れた原因であった考える。症例によりTSKの染色にはかなりのばらつきがあった。間質に強く染色される症例もあったことは新たな発見であった。しかしながら、データベースと照らし合わしてみたが免疫染色と予後との間に明らかな関連を見出すことはできなかった。延長した最終年度はキットを用い血清中のTSKの濃度測定をELIZA法によって測定し、予後との関係を明らかにすることを目的とした実験を計画した。症例によってかなりのばらつきがあることはわかったが、ELIZA法を用いた研究でも予後との明らかな関連性を見出すことは残念ながらできなかった。現在もTSKが何らかの形で肺癌に関与している可能性は高いと考えているが、どのsignal pathwayに関与しているか、またどのような形で関与しているか不透明である。更なる研究によってTSKと肺癌の関連を明らかにしていく必要性があると考えている。
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